「発達障がいを体験して」、当事者らが「エキスポ」

■メディアを通じてではなく触れ合ってほしい

参加と見学に分かれ14のグループを体験できる

2019年の冬、知り合いの繋がりで、地域活性化の企画コンペに参加することになった。「当事者グループに参加する間口を広げたい」と考えていた小松さんは、ここ数年で多く立ち上げられるようになった様々な当事者グループたちを集めて「博覧会」をできないかと考えた。

「まだまだ自助グループは、クローズな印象があり、参加するのに心理的なハードルが高い。お祭りのような形式にすることで、参加しやすくなるのでは」と、今回のイベントを行うことを決めた。

体験型の「博覧会」にするため、テーマごとにエリアを4つに分ける。「働く」「恋愛」「家族」そして「グレーゾーン」だ。グレーゾーンとは、未診断であったり、自分が発達障がいかどうかまだ分からなかったりする人。また、似たような特性で悩んでいるが「重度ではない」ため、以前の小松さんのように支援には繋がれていない人たちだ。

小松さんは「一日で一気に色んなグループに参加できると、自分に合った会を見つけやすい。もし見つけられなくても『他の会に行ってみたら自分に合う会が見つけられるかも』と思える」と、現在の自助グループの多様性を感じてほしいという。

さらに「今はテレビやメディアで、発達障がいのことを知ることができるけれど、当事者と交流することがなかなかない。定型(発達障がいではない)の人でも、こういう会に来てもらうことで『発達障がいでも色んな人がいるんだな』と体験してほしい」と、当事者の多様性にも触れてほしいと語る。

新型コロナウイルス対策のため、500人の会場に定員は200人まで。安全を徹底するため、50人ものボランティアスタッフで運営する。マスクや消毒の徹底はもちろんだが、非接触型の体温計も複数購入する。しかし「敷居を下げるため」入場料は無料だ。

そのため多額の経費がかかりクラウドファウンディングも募集しているが、9月30日までの締め切りに、26日現時点で24%しか集まっていない。集まらなければ支援を受け取ることのできない「All-or-Nothing方式」となっている。

2018年に自助グループを始めた当時、小松さんは「レンタルADHDおじさん」という、街中で無料相談に応じるサービスを行っていた。

「好奇心で始めてみた」という小松さんだったが、お客さんはほぼ全員が発達障がい特性を持つが、未診断の「グレーゾーン」な人ばかり。特に大学生くらいの若い女性が多かったと言う。

「(発達障がいの)話を聞かせてくれと呼びだされるが、会うと皆自分のことをしゃべってくる。自分は聞くほうが多かった。話す機会が少ないんだな、他の当事者とまだ繋がっていないんだなと感じた」と言う。

「自助グループと聞くと、まだ『気持ち悪い』『怖い』という人も多いかもしれない。でも気軽に体験してみてほしい。『お化け屋敷かと思って行ってみたら、実はディズニーランドでした』みたいな」と笑う小松さん。イベントは人数制限があるため、申込制となっている。

◆10月18日開催、発達障がい当事者博

◆生きづらさと向き合うきっかけに。発達障がい当事者会博を開催!(クラウドファンディング)

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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キーワード: #障がい

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