フランス最高裁、モンサントの農薬被害の賠償命じる

フランス破棄院(最高裁に相当)は10月21日、モンサント(現・独バイエル)の農薬がフランス国内の農家に被害を与えたとして、バイエルに賠償を命じる判決を出した。賠償金額は未定。農家は2007年にモンサントを訴え、2019年4月にリヨンの控訴院(高等裁判所)で勝訴したが、バイエルはその後、上告していた。モンサントの農薬による健康被害の責任を認めた今回の判決で、13年にわたる裁判闘争が終わった。(編集委員・羽生のり子=パリ)

ポール・フランソワ氏

訴えていたのは仏南西部の穀物農家、ポール・フランソワ氏。2004年、モンサントの除草剤「ラッソー」の散布後、空になった容器の蓋を開けたところ、残っていた農薬が日光で温まり、蒸気になって立ちのぼった。意識を失い、病院に運ばれ、その後何度も治療を受けたが、会話障害や激しい頭痛などの後遺症が残った。今も神経系の後遺症に悩まされている。

フランソワ氏が裁判で勝ってもモンサントが毎回上訴したため、今回が4回目の裁判となった。

賠償請求額は100万ユーロ(約1億2200万円)で、今後リヨンの裁判所で手続きが始まるが、全て終了するにはまだ時間がかかる。フランソワ氏は、「バイエルは賠償手続きを遅らせることなく、責任を全うしてほしい」と、自ら創設した非営利団体「農薬被害者の会」のコミュニケで訴えた。

ラッソーは発がん性などの疑いがあるため、1985年にカナダが、1992年にベルギーとイギリスが、2007年に欧州連合(EU)が禁止した。しかし日本では、「ラッソー乳剤」の名前でいまだに販売されている。フランソワ氏は国営ラジオ放送局「フランス・アンフォ」のインタビューで「自分が被害を受けた農薬が、日本や中国ではまだ稲作で使われている」と発言し、その危険性に気づくよう促した。

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