編集長コラム:SDGsウォッシュの由来は

最近、読者から「SDGsウォッシュ」の由来はーーとの質問がありました。皆さんは、この言葉をご存じでしょうか。

もともと英語には「ホワイトウォッシュ」(whitewash)という表現があります。ウォッシュ(wash)は通常、「洗う」という意味ですが、この場合は「色を塗って隠す」ことを指します。

「ホワイトウォッシュ」は、「ウソをごまかす」「欠点を隠して良く見せる」という意味です。白いペンキで建物や部屋の壁を塗りたくり、キズや落書きを消す感じです。

そしておそらく90年代に、「グリーンウォッシュ」という言葉が英語圏で使われるようになりました。1992年のリオ地球サミットで環境問題が世界に共有され、企業が環境対策に力を入れ始めたころです。

これは「環境対策に取り組んでいるかのように見せて、実は取り組んでいない」、「環境負荷が高い製品/サービスなのに、それが低いようにごまかしている」などの揶揄を含んだ表現です。

そして2015年に国連サミットでSDGsが採択されてしばらくすると、英語でも日本語でも「SDGsウォッシュ」という言葉が使われるようになりました。その意味は、グリーンウォッシュの「環境対策」を、「社会課題の解決」と読み替えれば良いと思います。

ただし、日本企業は「SDGsウォッシュに見られないだろうか」という思いが強すぎるようにも感じます。これは日本の伝統でもある「陰徳」から来ているのかも知れません。

有料会員限定コンテンツ

こちらのコンテンツをご覧いただくには

有料会員登録が必要です。

森 摂(オルタナ編集長)

森 摂(オルタナ編集長)

株式会社オルタナ代表取締役社長・「オルタナ」編集長 武蔵野大学大学院環境学研究科客員教授。大阪星光学院高校、東京外国語大学スペイン語学科を卒業後、日本経済新聞社入社。編集局流通経済部などを経て 1998年-2001年ロサンゼルス支局長。2006年9月、株式会社オルタナを設立、現在に至る。主な著書に『未来に選ばれる会社-CSRから始まるソーシャル・ブランディング』(学芸出版社、2015年)、『ブランドのDNA』(日経ビジネス、片平秀貴・元東京大学教授と共著、2005年)など。環境省「グッドライフアワード」実行委員、環境省「地域循環共生圏づくりプラットフォーム有識者会議」委員、一般社団法人CSR経営者フォーラム代表理事、日本自動車会議「クルマ・社会・パートナーシップ大賞」選考委員ほか。

執筆記事一覧
キーワード: #SDGs

お気に入り登録するにはログインが必要です

ログインすると「マイページ」機能がご利用できます。気になった記事を「お気に入り」登録できます。
Loading..