これまで経産省と電力各社は、電気事業法のもと、日本に強固な電力系統を築いてきた。
だが、その系統は中央集権的なものであり、今回の福島原発の事故で、県ごとのエネルギー安全保障体制がいかに脆弱なものかを、各自治体は思い知らされた。
例えば静岡県の東部は、福島第一原発から200キロ以上離れているにもかかわらず、東京電力の送電地域であったため、計画停電に組み込まれた。県知事といえども、異論をはさむ余地はなかった。
25日の記者会見では、「エネルギーの自立・分散」という言葉が何度も知事たちの口から出た。
長野県の阿部知事は「地域のエネルギーを活用すれば、地域の安定・安全につながる」と強調した。
協議会では、各県に20メガワットのソーラー発電所をソフトバンクの負担で設置し(土地は各県が供出)する予定だ。長野県の試算によると、20メガワット(約5000世帯分)のメガソーラーで長野県内の77市町村のうち48町村の電気需要を賄えるという。
26日には、この自然エネルギー協議会に関西広域連合の7府県が合流する予定だ。予定通り合流すれば、自然エネルギー協議会のメンバーは26道府県となり、全国47都道府県の半数以上を占める一大勢力となる。
さらに今後、福島第一原発事故の処理を巡って、発送電の分離、電力自由化の議論が必ずやってくる。発送電の分離は、自然エネルギーのシェア拡大のためには必要条件といえる。
各電力会社は日本へのスマートグリッド導入を嫌がっていた。スマートグリッド化が進むと、自然にマイクログリッド化(地域ごとの送電網管理)が進む。そうなれば、「エネルギーの地産地消」が実現する。
この日の協議会旗揚げが「日本のエネルギー政策の大転換点」となるか。その帰趨は誰にも分からないが、そうなる可能性は決して低くない。(オルタナ編集長 森 摂)