ポスト震災で注目の働き方「コワーキング」とは

■家族との時間もコントロールできる働き方

――コワーキングは、一極集中する東京に通勤せざるを得ない働き方を変える上で重要だと思う。

その通りだ。コワーキングは、通勤に頼る仕事のあり方に根本的な変革をもたらすだろう。毎日長い距離を通勤することから一歩引き、コミュニティーに根差しながら働くことを可能にする。道路や鉄道の混雑といった、交通インフラへの負荷も軽減できる。

――コワーキングは、ワークライフバランス(仕事と生活の両立)を可能にする働き方としても重要だと思う。

もちろんだ。米国では、際限なく働く長時間労働をやめてリラックスし、自分の人生に規律を取り戻す手段としてコワーキングを始める人も多い。また、子どもと一緒に過ごす時間を確保する一方で、子どもと離れて仕事に集中する、といった具合に、家族との時間をコントロールできるのもコワーキングならではだ。サンフランシスコには、保育スペースが併設されたコワーキング・スペースも登場している。

私はこれから、NWCでメンバーに対してワークライフバランスの大切さを知ってもらう仕掛けをやろうとしている。コワーキング・スペースであることによって、この問題の大切さを世の中に発信する機会を得られたと思っている。自分にとって何が健康的な選択肢なのかということをメンバーに見つけてもらえるような方法を考えていきたい。

日本でも神戸市の「カフーツ」が2010年にオープンしたのを皮切りにコワーキング・スペースが各地に誕生し、 ツイッターやフェイスブック上などで急速に関心が高まっている。大震災以降、コミュニティーを再構築する必要性が叫ばれて久しいが、コワーキングはその端緒になるのではないだろうか。

トニー・バッチガルーポ氏:
米ニューヨークの代表的なコワーキング・スペース「ニュー・ワーク・シティー」(NWC)の共同創設者・“メイヤー(市長)”。世界的なコワーキング・スペースのムーブメントを推進すべく、メディアや講演等で積極的に発言している。共著書に『I’m Outta here: How coworking is making the office obsolete 』<(今までの日常に)さようなら:いかにコワーキングがオフィスを時代遅れのものにするか>がある。

■米ニューヨークの代表的なコワーキング・スペース「ニュー・ワーク・シティー」http://nwc.co/
■「パーぺチュアリー」 http://www.perpetually.com/
■「カフーツ」(http://cahootz.jp/)

editor

オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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