原子力村批判経由、持続可能社会行き――アーティスト・椿昇の挑戦

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「VITAL FOOT PROJECT」で被災地に寄付される自転車(オフロード仕様)と小型トレーラー

ここ十数年で成長したNPO組織による、東日本大震災支援活動へのめざましい働き。東京・秋葉原で開催中の東日本大震災復興支援プロジェクト展での印象だ。

一方、放射性物質汚染の影は希薄がちだ。その中で気炎を吐くのがアーティスト、椿昇だ。彼は建設的提案と現状批判の2つを展示する。

1つが、被災地に特製自転車を寄付する「VITAL FOOT PROJECT」だ。

これは自転車の売り上げの一部の積み立て、あるいは寄付金そのものからの充当で自転車を送るもの。修理すれば50年保つという自転車は、増えることで世代を超えて持続可能な社会を創りあげていく礎となる。

使ってしまえば終わりの一過性の支援でないことも注目される。付属して使える荷物積載の二輪トレーラーは細かい心配りだ。

ヴィデオインスタレーション「RADIKAL AQUA」

もう1つがヴィデオインスタレーション「RADIKAL AQUA」だ。

これは映画のエンドロール風に菅直人、中曽根康弘といった原発災害に関連する人々の名前が浮かび、罪を告発する。これは参加型でもあり、自分の名前の記入もできる。政治家の罪の共犯者として市民自らの反省も促す。

これには昨年展示の姉妹作があり、男性用大人のオモチャを原子炉の燃料棒に見立てた立体作品だ。椿は「原子力村という男性社会のオナニーが事故を招いた」と語る。

NPO組織による社会活動は、行政との同調傾向もしばしば見受けられる。「ワクワク」「笑顔」などのキーワードに代表される口当たりの良さへの偏りは、社会学者ハーバーマスが指摘するように、市民を政治の参加者ではなく単なるサービス受益者にする恐れがある。

ここに風穴を空けるのが、批判精神によって表現の自律性を貫く椿昇のようなアーティストだ。(美術・文化社会批評 アライ=ヒロユキ)

「つくることが生きること」東日本大震災復興支援プロジェクト展

2012年3月11日(日)〜25日(日) 12:00〜19:00 会期中無休
主催:わわプロジェクト(一般社団法人非営利芸術活動団体コマンドN)
会場:3331 Arts Chiyoda 1F メインギャラリー
〒101-0021 東京都千代田区外神田6丁目11-14

2012年3月21日(水)13:18

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