樋口武男・大和ハウス工業会長の「熱湯経営」的CSRとは

■ 高い志がある若者たちに期待

――環境問題やCSRについて、若い人たちの間で興味を持つ人が少しずつ増えてきたようです。

そうそう。今の若い人は「ニート」とかいろいろ言われるけど、高い志、夢や希望をもって頑張っている人も結構いるのです。僕の同級生がボーイスカウトの面倒をずっと見ていて、「今の若いやつは」という人も年配の中におるけども、ものすごく頑張っとる純粋な若者もたくさんいると言っていました。

――大和ハウスが投資されている先にも、若者たちがたくさんいるそうですね。

ロボットスーツの山海嘉之教授もまだ40歳代ですが、あとは学生たち。慶應大学発のベンチャーも社長は元三井住友銀行副頭取の吉田さんですが、現場の皆さんは全部若い人です。農業の工業化も、まだリチウムイオン電池やロボットスーツほどは具体化されてはいませんが、若い人たちが原動力です。

農業の工業化も、リチウムイオン電池も、ロボットスーツも、これからの21世紀に必要な事業だと思います。だからこそ我々は最優先で取り組んでいるのです。

――今の若者たちに樋口さんから励ましの言葉を頂けますか。

若い人は、やはりクラーク博士の「青年よ、大志を抱け」で生きてほしいです。例えば人口が減るからと後ろ向きな考えではなく、マイナス要素はそれを克服することでプラスに変えられる。だからピンチは逆にチャンスなのだという発想をしてほしい。私流に言うと、どんな場合でもプラス思考で臨めと。それでこそ道が拓けると思います。

■ 「大企業病」は永遠のテーマ

――「熱湯経営」は大企業病を克服する過程を描いたものですが、その過程は今、何割方まで来たと思われますか。

これは永遠のテーマですね。例えば一般的に、50年続く企業は4割あると言われます。ところが100年続く企業は3%に満たない。50年目を過ぎてからの50年の間になぜつぶれていくのか。これはマンネリ化していくからです。

――創業者も恐らくはいないですね。

もちろんいないです。だからトップに立つ人が求心力を維持して、企業を「社会の公器」として事業を進めていけば、またそういう人材が絶え間なく育てば、企業は発展し続けるのです。ところがサラリーマンばかりの集まりになると、自分の代だけ「つつがなく」になって、次代のための種を蒔かなくなるのです。

そうすると、どこかで息切れする。創業者は生前、「創業100周年に連結売上高10兆円」というとてつもない数字を掲げました。これは数字にこだわるというより、「企業は永遠でなければならない」というのが真意だと思います。


 

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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