静岡県・熱海市は11日、都内で観光・移住PRイベントを開催した。会場には、首都圏在住の移住希望者など約50人が集まり、「熱海ブランド」に認定されている地元商品に舌鼓を打ちながら、関係者の話に聞き入った。
この催しは、観光客数と人口減少に悩む熱海市が、ぐるなび(東京・千代田)と結んだ「熱海市活性化に関するパートナーシップ協定」の一環として行われた。
熱海市は、全国有数の温泉地であるだけでなく、海の幸にも恵まれた観光地として古くから栄えてきた。しかし、1975年頃から観光客数は減少傾向にある。人口も1965年をピークに減少を続け、2010年には4万人を下回り、市の財政や市内経済への影響が懸念されている。一方で、熱海は東京駅から新幹線で約50分というアクセスの良さもあり、東京・神奈川への通勤圏としての魅力も兼ね備えている。
挨拶に立った熱海市の齊藤栄市長は「熱海の魅力は何といっても自然。ただ、谷崎潤一郎などの文豪由縁の店や、『熱海御用邸』が建てられていた土地の文化的側面も楽しんで欲しい」とアピールした。
熱海への移住者も登壇し、自身の経験を語った。熱海で事業を営む倉持淳子さんは「都心の職場近くに住んでいた頃は、帰宅しても、オンとオフの切り替えが難しかった。熱海と東京を往復するようになってからは、通勤の間に、知識をインプットするための時間を確保できるようになった」と住環境以外のメリットを語った。
齊藤市長は「過去40年以上、続いている人口減少を何としても食い止めたい。目標は10年後も、現状の人口約4万人を維持することだ」と述べた。(オルタナ編集部=赤坂祥彦)