超音波でサンゴなど外骨格生物の生育をコントロール――岐阜県の歯科医師が豪で研究発表

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超音波により促進された母ポリプ上の出芽と新たな共骨の成長

朝日大学歯学部非常勤講師で、岐阜県北方町で歯科医を開業する梶本忠保・歯科医師がこのほど、超音波がサンゴなど外骨格生物の生育促進効果があるという実験結果をまとめた。

7月にオーストラリアのケアンズで開催された第12回国際サンゴ礁シンポジウムで発表した。

梶本医師は、超音波療法が骨組織の形成を早める性質に着目し、口腔内における応用について基礎的・臨床的な研究を続けてきた。

例えば、口腔内のインプラント治療に超音波療法を応用することで、骨組織形成が促進され、インプラント体と周囲骨組織との骨接合が早く進むことや、骨の増生が確実に短期間できるなどの研究成果を得た。

一方、サンゴなど外骨格生物も、海中で自律的に成長する骨と見ることができるため、口腔内で行ってきた超音波照射法をサンゴに用いればサンゴの成長・生育にも役立つと考え、琉球大学熱帯生物研究所と4年間の共同研究を実施した。

その結果、特殊な周波数の超音波を照射すると、条件によっては、サンゴを含む外骨格水生生物などの発育をコントロールできることが分かった。

今回の研究結果によると超音波は、理学的な刺激であるため発育促進効果が確認できれば、出力等の条件を変化させることにより発育阻止効果も期待できる。

①サンゴなどの外骨格生物の成長発育促進②貝類の成長発育促進(真珠の生産性向上)③海水の吸排口・導管(船舶、施設)の付着生物付着阻止④魚網、養殖用の網、各種フロートの付着生物付着阻止⑤船舶のバラスト水中の水生生物駆除⑥船底・プロペラの付着生物付着阻止--などの用途で実用化が可能だという。

これらの用途ではすでに他の方法で実用化されているものもあるが、超音波法ではより効果が確実なことと、装置が複雑でなく省電力で稼働するため設備の設置の容易さ・コスト、ランニングコストにおいて優れているという。

超音波照射法による骨組織の育成は、すでに英国など先進国で人体への治療法としても実用化されている。2002年のワールドカップ直前に骨折したデビッド・ベッカム選手が、この超音波照射法で急速に回復したことが話題になった。

梶本医師は、日本では超音波を用いたインプラント治療の第一人者だが、サンゴへの応用研究は自費で続けてきた。同医師は「今後は大企業などの支援を受けて、実用化に向けてさらに精度が高い研究成果をあげたい」と話している。(オルタナ編集部)

 

2012年10月9日(火)11:37

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