希代 準郎
作家
日常に潜む闇と、そこに開ける不安と共感の異境の世界を独自の文体で表現しているショートショートの新たな 担い手。この短編小説の連載では特にNPOという新たな動きに注目、そこに関わる群像を通して、生きる意味、生と死を考える。

2019/12/06

アラスカから気候戦士に名乗り(希代 準郎)

◆「ショート・ショート」(掌小説)こころざしの譜(36) 「父さん、どうして皆、この島を出ていくのかなあ。僕はいやだな」  さらさらと澄んだ水が小石の上を走るのに目をやりながらウルヴァが尋ねた。気まずい沈黙を釣り糸の緊張 […]...続きを読む »

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2019/11/09

ナシールウッディンの「指輪はどこ?」(希代準郎)

◆「ショート・ショート」(掌小説)こころざしの譜(35)  智彦がバングラデシュのNGOで働くことになったのはいくつかの偶然が重なったからである。  津波で父と母そして妹が家ごと流された。避難生活、ガレキ撤去、葬儀。壊れ […]...続きを読む »

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2019/10/04

青いバラ、奇跡の予感:希代 準郎

◆「ショート・ショート」(掌小説)こころざしの譜(34)  カトリック教会の静寂な空間を一歩外に出るとホームレスがスープキッチンに列をつくっている。垢にまみれよだれを垂らした麻薬患者とおぼしき姿もある。あふれんばかりの陽 […]...続きを読む »

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2019/09/03

沖縄の美味しい豚には訳がある(希代 準郎)

◆「ショート・ショート」(掌小説)こころざしの譜(33)  もう一年も前のことになる。冬の冷え込みのきつい夕暮れだった。みぞれまじりの雨が舞っていた。「校長、きょうは珍しく雪になるらしいので早めに帰った方がいいですよ」凍 […]...続きを読む »

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2019/07/29

犬神の怨霊(希代 準郎)

◆「ショート・ショート」(掌小説)こころざしの譜(32)  山奥深く、湿った熱を帯びた杉林がこんもりと茂る急な山道を月あかりに照らされながら犬の群れが山里に向かって駆け下っていた。舌を出し牙をむいた表情は何かに憑かれたか […]...続きを読む »

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2019/07/04

「ゲバラの旅」の重さ:希代準郎

◆「ショート・ショート」(掌小説)こころざしの譜(31)  古いビルが軒を連ねるオールドハバナの街を歩くとタイムスリップしたような錯覚に陥る。キューバ革命前のクラシックカーが通りを走っている。シボレー、ビュイックといった […]...続きを読む »

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2019/06/03

復興支援、「大学一番乗り」の舞台裏(希代 準郎)

◆「ショート・ショート」(掌小説)こころざしの譜(30) 「ボランティアセンター(ボラセン)のセンター長を引き受けてほしい。新聞社に勤務していたあなたのような人が必要なんです」。そんな電話が赴任予定の大学の学長から真砂圭 […]...続きを読む »

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2019/04/27

うちのニャンコは名通訳:希代準郎

「ショート・ショート」(掌小説)こころざしの譜(29)  大学の授業までに間があったので、サーモン味のキャットフードを駅ビルで買おうと緑の窓口の前を通りかかった時だった。黄金週間の切符を求める長い列、その奥で突然怒鳴り声 […]...続きを読む »

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2019/04/05

原宿の炊き出しとフクシマの女:希代準郎

「ショート・ショート」(掌小説)こころざしの譜(28)   山崎慎也はようやく目的地の原宿の教会を見つけ旅の終わりにホッと息をついた。きのうの午後、ワゴン車で雪の降りしきる新潟を出発、徹夜でハンドルを握ってきた。荷台には […]...続きを読む »

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2019/03/10

僕はこうして被災地の市会議員になった:希代 準郎

「ショート・ショート」(掌小説)こころざしの譜(27)   ル、ル、ルと鳴り始めた瞬間、電話をガバッとひったくった春ばあさんが、「おー、そうか、そうか」と大仰にうなずきながら幸山翔真を振り返った。「最初の開票分でトップに […]...続きを読む »

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2019/02/08

先生は南米のセニョリータ: 希代 準郎

「ショート・ショート」(掌小説)こころざしの譜(26) 「セニョール、若い女の子のお店行きませんか。安くはありませんが」。夕食を終えて通りへ出たところで、裕也たちはひとりの男に呼び止められた。ポンコツの白いクラシックカー […]...続きを読む »

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2018/12/27

新婚旅行に車イス

「ショート・ショート」(掌小説)こころざしの譜(25)  結婚式の夜、光希子からベトナムへの新婚旅行に車イスを持って行きたいと切り出された時には慎一も困惑を隠せなかった。ニャチャンは海がきれい、歴史を感じたいならフエ、フ […]...続きを読む »

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2018/12/14

「愛」の流した一筋の涙

「ショート・ショート」(掌小説)こころざしの譜(24)  舞台の照明が突然明るくなった。  「さあて、皆さま。本日のスペシャルマッチがいよいよ始まりまーす」  派手な衣装に身を包んだ司会の男が大音量のマイクで絶叫すると、 […]...続きを読む »

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2018/11/04

野球の神様からの贈り物

「ショート・ショート」(掌小説)こころざしの譜(23)  亡くなる前にひとつだけ願いごとを聞いてやると言われたら何と答えるだろう。ある意味残酷な問いかけである。ましてや子供が難病で答えるのがその父親となると、考えるだけで […]...続きを読む »

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2018/09/29

「ホップ・ステップ・ジャンプ」で正社員に

「ショート・ショート」(掌小説)こころざしの譜(22)  私はユッコ。児童養護施設から小学校に通っている。フィリピン生まれなんだけど、母が出稼ぎに来ていて日本人のおじさんと結婚したの。それで離婚した前夫の子どもである私も […]...続きを読む »

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2018/09/13

ボクが犬語をしゃべっていた頃:こころざしの譜(21)

「ショート・ショート」(掌小説)こころざしの譜(21) あのころのことを考えると本当に嘘みたいだ。ボクにあんな特別な才能が備わっていたなんて。 あれは、そう、大学に入ってすぐ、オリエンテーション・キャンプで丹沢のちょっと […]...続きを読む »

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2018/08/03

便利屋「萬」の1週間:こころざしの譜(20)

「ショート・ショート」(掌小説)こころざしの譜(20)  長く勤めた精密機械メーカーを定年まで1年を残して辞めた。少し我慢する手もないではなかったが、社長の傲慢さが腹に据えかねた。心臓が悪いといううわさもあるが、憎まれっ […]...続きを読む »

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2018/07/10

津波で流された「幸福食堂」を 君は覚えているか :こころざしの譜(19)

「ショート・ショート」(掌小説)こころざしの譜(19)  永年勤めた新聞社を私はきょう定年退職する。事件や事故を扱う社会部が長かっただけに仕事には恵まれた。短気な性格で上司ともよくぶつかった。辞めようと思ったことも一度や […]...続きを読む »

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2018/06/07

キムチ売りは「おばちゃん宣教師」 :こころざしの譜(18)

「ショート・ショート」(掌小説)こころざしの譜(18) 玄児美(ヒョン・アミ)は駅前の通りを落ち着きなく行ったり来たりしていた。誰もが背を丸め家路を急いでいる。3日前、小学1年生になる娘の春琴(チュングム)が行方不明にな […]...続きを読む »

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2018/04/25

小児病棟のピエロ こころざしの譜(17)

「ショート・ショート」(掌小説)こころざしの譜(17)  田植えが終わり居間でのんびりしていた雅代のところに娘の玲子から突然電話が入ったのはほんの一週間前のことだった。 「お母さん、勇介が・・・」と叫んだきり、後が続かな […]...続きを読む »

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