希代 準郎
作家
日常に潜む闇と、そこに展開する不安と共感の異境の世界を独自の文体で表現しているショートショートの新たな 担い手。この短編小説の連載では、現代の様々な社会的課題に着目、そこに関わる群像を通して生きる意味、生と死を考える。

2020/10/05

消えた自転車人形 (希代 準郎)

◆「ショート・ショート」(掌小説)こころざしの譜(46)  セーヌの川面がキラキラと春の光をはね返している。米国のミネアポリスでジョージ・フロイドという黒人が白人警官に首を押さえつけられて殺されたという痛ましいニュースが […]...続きを読む »

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2020/09/03

もう一つの家族 (希代 準郎)

◆「ショート・ショート」(掌小説)こころざしの譜(45)  銀行の仕事を終えた松山一樹は賑やかな表通りから細い路地に入り、アパートに帰ろうとしていた。今夜、1階の空き部屋にようやく待ちかねた入居者が来るというので歓迎会が […]...続きを読む »

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2020/08/12

タイコウサマ殺人事件 (希代 準郎)

◆「ショート・ショート」(掌小説)こころざしの譜(44)  弥助という染織家がメキシコ市の大統領府を表敬訪問したというので、欣也はカメラマンのルイスを連れてインタビューに行った。 「奈良に住んでいるんだが、ちょっとした用 […]...続きを読む »

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2020/07/03

アフガンの「黒い正方形」(希代 準郎)

◆「ショート・ショート」(掌小説)こころざしの譜(43)  カブール郊外に目指す家はあった。土漠の中にポツンと立っている。壊れかけた玄関のドアをたたくと髭をたくわえた熊みたいな男がぬーっと顔を出した。 「アクバルを探して […]...続きを読む »

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2020/06/05

栄冠に輝く者たち (希代 準郎)

◆「ショート・ショート」(掌小説)こころざしの譜(42)  先日亡くなった旧友から突然手紙が届いた。葬儀が終わったら投函するよう誰かに頼んであったのだろうか。  男の名前は加納正司。元プロ野球選手だった。故障がちで二軍暮 […]...続きを読む »

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2020/05/05

ホームレス歌人は何者か (希代 準郎)

◆「ショート・ショート」(掌小説)こころざしの譜(41)  「この記事、なかなか読ませるじゃないか、大輔。部屋の広さは3畳しかないのか。狭いなあ」  横浜の「ドヤ街」と呼ばれる日雇い労働者の簡易宿泊所ルポを朝刊用に書いた […]...続きを読む »

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2020/04/06

引きこもり、不登校に負けない「恩送り」(希代 準郎)

◆「ショート・ショート」(掌小説)こころざしの譜(40)  子供たちを連れて丘に登る。秋の澄んだ夕陽を受けて青磁色の海が白いレースをひらめかせている。真砂卓也は埠頭に係留してあるヨットを見下ろす。五隻ほどが白い船腹を見せ […]...続きを読む »

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2020/04/05

引きこもり、不登校に負けない「恩送り」(希代 準郎)

◆「ショート・ショート」(掌小説)こころざしの譜(40)  子供たちを連れて丘に登る。秋の澄んだ夕陽を受けて青磁色の海が白いレースをひらめかせている。真砂卓也は埠頭に係留してあるヨットを見下ろす。五隻ほどが白い船腹を見せ […]...続きを読む »

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2020/03/03

ひな祭り、風の歌(希代 準郎)

◆「ショート・ショート」(掌小説)こころざしの譜(39)  津波に押しつぶされた夕闇の原野にぽつんと黒い棺桶が屹立している。酔い覚ましがてら歩いて帰ろうとしたのはいいが、気まぐれに足を踏み入れた山側で道を見失った。崖ばか […]...続きを読む »

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2020/02/05

振袖を着るって大人になること?(希代 準郎)

◆「ショート・ショート」(掌小説)こころざしの譜(38)  時計の針は午前零時を回っている。三畳一間の古ぼけたアパートの窓から外をうかがうと街灯の下で冷たい雨が風にあおられ湿った曲線を描いている。向こうに見える隣りの公園 […]...続きを読む »

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2020/01/04

みそひともじの遺書(希代 準郎)

◆「ショート・ショート」(掌小説)こころざしの譜(37)  思うところがあって少しばかり前に会社をに辞めていたので、桜の季節に霧子が亡くなっていたことを知らなかった。会社の元の同僚は誰も教えてくれなかった。訃報に接して頭 […]...続きを読む »

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2019/12/06

アラスカから気候戦士に名乗り(希代 準郎)

◆「ショート・ショート」(掌小説)こころざしの譜(36) 「父さん、どうして皆、この島を出ていくのかなあ。僕はいやだな」  さらさらと澄んだ水が小石の上を走るのに目をやりながらウルヴァが尋ねた。気まずい沈黙を釣り糸の緊張 […]...続きを読む »

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2019/11/09

ナシールウッディンの「指輪はどこ?」(希代準郎)

◆「ショート・ショート」(掌小説)こころざしの譜(35)  智彦がバングラデシュのNGOで働くことになったのはいくつかの偶然が重なったからである。  津波で父と母そして妹が家ごと流された。避難生活、ガレキ撤去、葬儀。壊れ […]...続きを読む »

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2019/10/04

青いバラ、奇跡の予感:希代 準郎

◆「ショート・ショート」(掌小説)こころざしの譜(34)  カトリック教会の静寂な空間を一歩外に出るとホームレスがスープキッチンに列をつくっている。垢にまみれよだれを垂らした麻薬患者とおぼしき姿もある。あふれんばかりの陽 […]...続きを読む »

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2019/09/03

沖縄の美味しい豚には訳がある(希代 準郎)

◆「ショート・ショート」(掌小説)こころざしの譜(33)  もう一年も前のことになる。冬の冷え込みのきつい夕暮れだった。みぞれまじりの雨が舞っていた。「校長、きょうは珍しく雪になるらしいので早めに帰った方がいいですよ」凍 […]...続きを読む »

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2019/07/29

犬神の怨霊(希代 準郎)

◆「ショート・ショート」(掌小説)こころざしの譜(32)  山奥深く、湿った熱を帯びた杉林がこんもりと茂る急な山道を月あかりに照らされながら犬の群れが山里に向かって駆け下っていた。舌を出し牙をむいた表情は何かに憑かれたか […]...続きを読む »

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2019/07/04

「ゲバラの旅」の重さ:希代準郎

◆「ショート・ショート」(掌小説)こころざしの譜(31)  古いビルが軒を連ねるオールドハバナの街を歩くとタイムスリップしたような錯覚に陥る。キューバ革命前のクラシックカーが通りを走っている。シボレー、ビュイックといった […]...続きを読む »

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2019/06/03

復興支援、「大学一番乗り」の舞台裏(希代 準郎)

◆「ショート・ショート」(掌小説)こころざしの譜(30) 「ボランティアセンター(ボラセン)のセンター長を引き受けてほしい。新聞社に勤務していたあなたのような人が必要なんです」。そんな電話が赴任予定の大学の学長から真砂圭 […]...続きを読む »

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2019/04/27

うちのニャンコは名通訳:希代準郎

「ショート・ショート」(掌小説)こころざしの譜(29)  大学の授業までに間があったので、サーモン味のキャットフードを駅ビルで買おうと緑の窓口の前を通りかかった時だった。黄金週間の切符を求める長い列、その奥で突然怒鳴り声 […]...続きを読む »

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2019/04/05

原宿の炊き出しとフクシマの女:希代準郎

「ショート・ショート」(掌小説)こころざしの譜(28)   山崎慎也はようやく目的地の原宿の教会を見つけ旅の終わりにホッと息をついた。きのうの午後、ワゴン車で雪の降りしきる新潟を出発、徹夜でハンドルを握ってきた。荷台には […]...続きを読む »

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