LIXILが「地域最適窓」、快適と省エネの両立へ

記事のポイント


  1. リクシルは11月21日、窓事業の新戦略を発表した
  2. 気候条件が異なる日本の特性に応じた「地域最適窓」を展開へ
  3. 「パッシブデザイン」の考え方で省エネと快適の両立を図る

リクシルは11月21日、窓事業の新戦略を発表した。窓の環境負荷をライフサイクル全体で評価し、東西南北によって気候条件が異なる日本列島の特性に応じた「地域最適窓」を展開する。ドイツなど環境先進国が取り組む「パッシブデザイン」の考え方で省エネと快適の両立を図る。(オルタナS編集長=池田 真隆)

新戦略「グリーンウィンドウ」について発表した、リクシルの吉田聡・執行役専務(左)と小林智・常務役員=11月21日、リクシル本社で

リクシルは同日、地域の気候に応じた、地域最適窓を展開していくと発表した。日本は南北・東西で気候条件が異なる。札幌の冬の平均気温は−2.3度だが、福岡は8度だ。日射量に関しても、日本海側の秋田と太平洋側の盛岡では2倍の差がある。

こうした気候条件に対応するため、同社が考えたのが地域最適窓だ。名称を「GREEN WINDOW(グリーンウィンドウ)」とした。

同社は、窓の環境性を原料調達から廃棄までのLCA(ライフサイクルアセスメント)で算定する方法を研究した。同社が独自に構築した算定式で評価すると、寒冷地では、居住時のエネルギー利用によるCO2排出量が7割だった。この居住時の排出量を、「オペレーショナルカーボン」という。

一方、温暖地になるほど、「原料調達」「製造」「住宅施工」「廃棄」での排出量を指す「エンボディドカーボン」が7割だった。

戸建住宅のCO2排出量は、エンボディドカーボンとオペレーショナルカーボンに大別できる

同社は、オペレーショナルカーボンの対策には、断熱性能の高い窓を、エンボディドカーボンには、アルミリサイクルの採用が有効とした。同社は2030年度までにアルミリサイクル率100%を目指す。

樹脂リサイクルの推進にも取り組む。樹脂窓のリサイクル材が本格的に出回り始める20〜30年後を⾒据え、 今から資源循環を考えた樹脂窓を展開する。

地域の特性に応じて、最適な窓のあり方を提案

同社は2024年春から工務店向けに住宅のCO2排出量をLCAで評価する算定サービスの提供を始める。

グリーンウィンドウに関して、リクシルの吉田聡・執行役専務(LIXIL Housing Technology担当)は、「リクシルの窓・ドア事業のブランドであるTOSTEMは今年で100周年を迎える。次の100年を見据え、窓に求められる価値は何か根本から見直した。その答えが、地域に最適な窓『GREEN WINDOW』だ」と強調した。

「窓を選ぶ基準は、断熱性能だけではない。自然エネルギーの利活用や、ライフサイクル全体で環境負荷を低減していくことで、豊かで快適な暮らしに貢献できると確信している」と話した。

M.Ikeda

池田 真隆 (オルタナS編集長)

株式会社オルタナ取締役、オルタナS編集長 1989年東京都生まれ。立教大学文学部卒業。 環境省「中小企業の環境経営のあり方検討会」委員、農林水産省「2027年国際園芸博覧会政府出展検討会」委員、「エコアクション21」オブザイヤー審査員、社会福祉HERO’S TOKYO 最終審査員、Jリーグ「シャレン!」審査委員など。

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キーワード: #脱炭素

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