みずほFG、ネットゼロ産業別中間目標に自動車と海運加える

記事のポイント


  1. みずほFGがネットゼロ産業別中間目標に、自動車と海運を追加した
  2. 国連ネットゼロ銀行同盟(NZBA)の要請に対応した形だ
  3. 自動車セクターに関する目標設定は、3メガの中で、みずほが初だ

みずほフィナンシャルグループは18日、投融資ポートフォリオのネットゼロに向けた産業別温室効果ガス(GHG)排出量削減目標に、自動車と海運セクターを追加した。国連ネットゼロ銀行同盟(NZBA)に加盟する銀行は、投融資先産業のGHG中間目標の設定が求められていることに対応した。3メガバンクは、これまで、電力、石油・ガスなどの目標を公表しているが、自動車セクターは、みずほが初となる。(オルタナ総研フェロー=室井 孝之)

みずほフィナンシャルグループ

NZBAへの署名金融機関は、2050年ネットゼロの目標設定に加えて、投融資を通じたGHG排出削減の2030年度中間目標の設定を進めている。

みずほは既に、電力、石油・ガス、石炭採掘(一般炭)セクターの目標を定めており新たに自動車と海運セクターを追加した。

2023年度中には、鉄鋼、不動産セクターの目標を設定し、2024年度に開示の予定だ。

みずほが今回公表した自動車産業の中間目標は、対象となる自動車会社のスコープ1・2とスコープ3(カテゴリー11:販売製品の使用)に分けて設定している。

前者については、30年度で38%削減(2021年度比)とし、後者は31%~43%減(同)とした。

みずほは、自動車セクターの中期目標の考えとして、「自動車セクターは、世界のエネルギー消費部⾨からのCO2排出量の約16%を占め、⾃動⾞の需要は2050年に向けて増加が⾒込まれることも踏まえ、 実体経済の移⾏促進には同セクターの脱炭素化が不可⽋」としている。

目標達成に向けた取り組みとして、「取引先とのエンゲージメントを起点に、移⾏への対応状況を確認し、脱炭素・電動化に向けた支援」と「エネルギー供給サイド(電⼒、⽯油・ガスセクター)での排出削減取り組み支援」の2点を掲げた。

前者の具体策は、「⼯場でのカーボンニュートラル化(再エネ化・省エネ)の⽀援」や「地域のエネルギー特性も踏まえた、低排出⾃動⾞の開発・販売の⽀援」を指す。

 海運セクターの排出量は、船舶の運航時の排出量が全体の98%を占めることから、 船舶の運航によるスコープ1の排出量の⽬標を設定した。

目標値は、船舶の排出原単位が基準値に対してどれほど上回っているか/下回っているかを⽰す「ポートフォリオ気候変動整合度」が2030年度にはゼロに等しくなることを目指す。

みずほフィナンシャルグループは、「「ネットゼロ移行計画」のもと、「実体経済の移行促進への貢献」「ビジ ネス機会の適切な捕捉」「リスクの適切な把握と管理」の3つの観点を重視し、気候変動への対応を統合的に推進している」と強調した。

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室井 孝之 (オルタナ総研フェロー)

42年勤務したアミノ酸・食品メーカーでは、CSR・人事・労務・総務・監査・物流・広報・法人運営などに従事。CSRでは、組織浸透、DJSIなどのESG投資指標や東北復興応援を担当した。2014年、日本食品業界初のダウ・ジョーンズ・ワールド・インデックス選定時にはプロジェクト・リーダーを務めた。2017年12月から現職。オルタナ総研では、サステナビリティ全般のコンサルティングを担当。オルタナ・オンラインへの提稿にも努めている。執筆記事一覧

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キーワード: #脱炭素

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