「ガバナンス改革に頂点はない」荏原製作所社長

記事のポイント


  1. 日本取締役協会コーポレートガバナンス・オブ・ザ・イヤーグランプリに荏原製作所
  2. 「守り」から「攻め」へのガバナンス改革と経営の実行力が成果を生んでいる点が評価
  3. 浅見正男社長、「ガバナンス改革に頂点はない」と強調

日本取締役協会は1月29日、都内でコーポレートガバナンス・オブ・ザ・イヤー2023表彰式を開催した。グランプリは荏原製作所が受賞。「守り」から「攻め」へのガバナンス改革と経営の実行力が成果を生んでいる点が評価された。浅見正男社長は「ガバナンス改革に頂点はない」と強調した。(オルタナ総研フェロー=室井孝之)

2024.01.29

コーポレートガバナンス・オブ・ザ・イヤーは、コーポレートガバナンスを用いて、中長期的に健全な成長を遂げている企業を応援するため、日本取締役協会が2015年に開設した。

グランプリ企業に荏原製作所、ウィナー企業に味の素、セイコーエプソン、経済産業大臣賞にマニー、東京都知事賞に積水ハウスが各々選ばれた。

グランプリの荏原製作所の選出理由について、伊藤邦夫審査委員(一橋大名誉教授)は、「監督の機能不全を機に、守りのガバナンス改革に着手した。早くから独立社外取締役を選出し指名委員会等設置会社に移行した」と述べた。

更に「その後、攻めのガバナンスに着手した。ROIC経営を導入し、知財ROIC、生産ROICにも発展させている。そのプロセスはまさに『ガバナンス・テュー・バリュー』そのものだ。経営もガバナンスも経営者の『ハンズオン』による実行力が成果を生んだ象徴的事例」と強調した。

浅見正男荏原製作所社長はグランプリ受賞を受け、ガバナンス改革の歩みを次の様にコメントした。

1. 2002年からガバナンスへの取り組みに着手し、執行役員制を導入し、定款上の取締役員数を削減した。
2.2008年からガバナンス改革を開始し、独立社外取締役を招聘した。
3.2015年に仕組み化を進め、より実効性を向上する為に、指名委員会等設置会社に移行した。
4.2019年から更なる透明性・公平性を確保する為、独立社外取締役が取締役会議長に就任した。
5.2022年から、取締役のパフォーマンスの深化とガバナンス・ツゥー・バリューへの貢献に向け、ESG重要事項を取締役会で定期的に審議し、コーポレートガバナンス・コード基本方針で定める役割資質要件に則して各取締役の評価を実施している。
6.ガバナンス改革に頂点はないという覚悟で、更に推進する。

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室井 孝之 (オルタナ総研フェロー)

42年勤務したアミノ酸・食品メーカーでは、CSR・人事・労務・総務・監査・物流・広報・法人運営などに従事。CSRでは、組織浸透、DJSIなどのESG投資指標や東北復興応援を担当した。2014年、日本食品業界初のダウ・ジョーンズ・ワールド・インデックス選定時にはプロジェクト・リーダーを務めた。2017年12月から現職。オルタナ総研では、サステナビリティ全般のコンサルティングを担当。オルタナ・オンラインへの提稿にも努めている。執筆記事一覧

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キーワード: #ESG

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