記事のポイント
- オルタナ編集部が選んだエシカルチョコ10選を紹介
- フェアトレードや寄付付きなど、エシカルなチョコレートが増えてきた
- 明治やピープルツリーのほか、医師や中高生が企画したチョコも
感謝の気持ちを伝えたり、自分へのご褒美にしたり、チョコレートを楽しむバレンタイン。近年では、フェアトレードや寄付付きなど、環境や社会に配慮したエシカル(倫理的)なチョコレートが増えている。オルタナ編集部で10商品を選んだ。(オルタナ編集部)
■チョコレートアカデミー受賞の「ハインデ&ヴェレ」
2023年末にオランダから日本に入ってきたばかりの「ハインデ&ヴェレ」。生産農家から直接購入した高品質の有機カカオ豆を、72時間以上、石臼の摩擦熱のみで滑らかにする伝統技法で、豆の自然な味を最大限引き出す。植物由来のオーガニックな代替ミルクを自社開発したアレルゲンフリーのチョコレートをはじめ、チョコレートアカデミーでの受賞実績も多く、ミシュランスターシェフも愛用する。当面は、月に1週間ほどの期間限定で販売予定。
■福祉施設とコラボした「Artisanシリーズ」
1986年からフェアトレードに取り組んできた第3世界ショップが、福祉施設/アトリエ「嬉々!! CREATIVE」の個性的なアーティストらとコラボレーションしたチョコレート。シリーズ名の「Artisan」は英語で「職人」を意味し、手間を惜しまず「おいしさ」「感動」を届ける海外の生産者と、世界に一つしかないデザインを生み出すアーティスト双方の職人技への敬意が込められている。秋冬限定品。
■マザーハウスの新作「リン イロドリチョコレート」
「途上国から世界に通用するブランドをつくる」を理念とするマザーハウス(東京・台東)は、新作チョコレート「Rin IRODORI CHOCOLATE(リン イロドリチョコレート)」を発売。つぶ状の素焼きあられに、さまざまなフレーバーのチョコレートをコーティングした。全国のマザーハウス直営店やバレンタイン催事場で販売している。
■ピープルツリーの「フェアトレード&オーガニックチョコ」
フェアトレード専門ブランド「ピープルツリー」のオーガニックチョコレート。中南米などの小規模農家と長期的なパートナー関係を結び、適切な取引価格を設定することで、生活向上や自立を支援する。カカオや砂糖をはじめとする原料はすべてオーガニックで、ミルクチョコについてはアニマルウェルフェアの基準が厳しいスイスの放牧牛から採れた牛乳を使う。油脂成分はココアバター100%で溶けやすくデリケートなため、秋冬限定の販売となる。
■フェアトレードのガーナ産カカオを使った「マーハ・チョコレート」
MAAHA(マーハ)は、日本人女性である田口愛氏が23歳で起業したチョコレートブランドだ。19歳の頃、ガーナに単身渡航した際に、チョコを買えないガーナの現実を見たことがきっかけだ。田口さんが代表を務めるエンプレーソ(岡山市)は、ガーナ政府と交渉し、品質の高いカカオ豆を高価格で買い取りができる制度を確立させた。収益の多くは地域の医療や教育支援に還元し、コミュニティ全体の生活水準の底上げをめざし活動する。MAAHAはガーナ語で「挨拶」を意味するように、地球の反対側のガーナの人々の声を届けていく。
■現役医師がつくった「世界一やさしいチョコレート」
「andew(アンジュ)」は、現役医師であり、自身も心臓難病とともに生きてきた中村恒星さんが立ち上げたチョコレートブランドだ。表皮水疱症という皮膚難病の患者が言った「ポテトチップスを食べるとトゲがついている板を食べているくらい痛い」という言葉から、8種のスーパーフードが入った栄養豊富で、皮膚を傷つけない口当たりの良いチョコを開発した。無添加であることはもちろん、乳化剤や動物性食品などを含まないことで、誰もが食べられる。病気の有無に関わらず、おいしいを共有できる社会をめざしていく。
■中高生が企画、フェアトレードチョコ「Khushee(クシ)」
途上国の子どもたちへの国際協力を行う認定NPO法⼈フリー・ザ・チルドレン・ジャパン(東京・世⽥⾕)は、寄付付きフェアトレードチョコレート「Khushee(クシ)」を販売した。このチョコレートは、ガーナの小規模カカオ豆農家の自立支援に加え、定価(税込み460円)の41%(188円)をインドの貧困地域で教育活動を行うNPO法人リムラスクールに寄付する。同団体の教育活動の一環として、団体に所属する中高生が企画した。
■明治、LGBTQ支援のマーブルチョコ
明治は、LGBTQをはじめとする多様な人が自分らしく楽しめるバレンタインを目指し、「マーブルパウチダイバーシティパッケージ」を数量限定で全国発売した。社内有志のアライ(LGBTQの理解者・支援者)が企画した。2023年は、「明治ミルクチョコレートCUBIE Diversityパッケージ」を発売。2024年は、7色のカラフルなチョコレート「マーブル」のパウチ型特別パッケージを発売した。
■80種類のプラントベースチョコが並ぶバレンタインフェア
「大泉工場NISHIAZABU」(東京・港)では、2月14日まで、植物由来の食材のみを使用したプラントベース(植物性)のチョコレートを集めたバレンタインフェアを開いている。15ブランド80種類のチョコレートを取り揃えた。クラフトチョコレートやロー(非加熱)チョコレート、能登の玄米を使用した甘酒を使って焼き上げたグルテンフリーマフィンなど、プラントベース&オーガニック商品が並ぶ。
■クラダシ「私たちのバレンタインは2月15日から」
フードロス削減に取り組むクラダシが、季節商品ロス削減の一環として行うキャンペーン。バレンタイン限定のパッケージが施されたチョコレートは、賞味期限内にもかかわらず14日を過ぎると廃棄されるリスクが高い。そこでこれらの製品を15日以降にポップアップショップやオンライン販売し、問題の周知啓発に努める。2023年にオンライン販売したセットは3日間で600個が完売し、急遽1200個を追加した。2024年もイベントなどでの販売を予定している。
あくまでも個人的な意見ですが、バレンタインデーのように商業目的で特定の商品を特定の日に大量販売させるような風習は、見直した方が良いのではないかと常々考えて来ました。オルタナ編集部では、そこを重々承知の上で「どうせ買うなら、エシカルな配慮のあるものを薦めたい」というお考えで企画された記事とは思いますが、やはり貴誌には「そもそも論」の一端でも触れて頂きたかったです。感謝の気持ちや自分へのご褒美にチョコレートに特化している時点で少々違和感を感じてしまいます。このような習慣はほぼ間違いなく過剰仕入れ、残材処分が発生します。性別に関係なく、多様な選択肢の中から人間らしい表現方法を提示して頂ければ幸いです。