世界の気温、9カ月連続で過去最高:産業革命前から1.56℃上昇

記事のポイント


  1. 2024年2月の世界の気温は、9か月連続で過去最高記録を更新した
  2. 過去12か月の平均気温は産業革命前の平均気温から1.56℃上昇した
  3. パリ協定の1.5℃目標を、日・月単位で上回ることが常態化しつつある

EUの気象情報機関・コペルニクス気候変動サービスは、世界の平均気温が2024年2月、観測史上最も暖かかったことを発表した。2023年6月以来、9か月連続で、月の最高気温記録を更新した。過去12か月間(2023年3月~2024年2月)では、産業革命以前の平均からは1.56℃上回った。パリ協定で掲げる「1.5℃」目標を、月・日単位で超えることが常態化してきている。(オルタナ副編集長・北村佳代子)

2024年2月の地表面の平均気温(1991年~2020年との比較)
ERA5. Credit: Copernicus Climate Change Service/ECMWF.

コペルニクス気候変動サービスによると、2024年2月の世界の平均気温は13.54℃となった。これは、産業革命以前(1850~1900年)の2月の平均気温に比べて1.77℃高く、1991年から2020年の水準に比べても0.81℃上回った。またこれまで2月として最も高かった2016年を0.12℃上回り、過去最高を記録した。

過去12か月間で見ても、1991~2020年の平均を0.68℃上回っており、産業革命以前の平均気温より1.56℃高くなった。

海面水温も広い範囲で記録的な高さとなり、極地を除く平均海面水温は21.06℃と、2023年8月に記録された20.98℃を上回り、過去最高となった。また、1日の平均海面水温は2024年2月29日には21.09℃となり、絶対値としての最高気温を更新した。

産業革命前の気温水準に比べて2℃を上回った2023年11月17日、同月18日に続き、2024年2月8日から11日までの4日間も、連続して産業革命前の水準を2℃上回った。産業革命前と比べ、月単位、年単位で「1.5℃」を超えるだけでなく、日単位では「2.0℃」を超える日も増えた。

インペリアル・カレッジ・ロンドンのグランサム気候変動環境研究所で気候科学上級講師を務めるフリーデリケ・オットー博士は警鐘を鳴らす。

「新たな記録更新に、人類は驚いてはならない。人類が石油、ガス、石炭を燃やし続け、地球は温暖化し続けている。この関係性は非常によく理解されていることだ。気候変動に特効薬や魔法の解決策はない。化石燃料の燃焼を止め、より持続可能で再生可能なエネルギー源に置き換えない限り、気候変動がもたらす激しい異常気象で、生命と生活は脅かされ続けることになる」

北村(宮子)佳代子(オルタナ副編集長)

北村(宮子)佳代子(オルタナ副編集長)

オルタナ副編集長。アヴニール・ワークス株式会社代表取締役。伊藤忠商事、IIJ、ソニー、ソニーフィナンシャルで、主としてIR・広報を経験後、独立。上場企業のアニュアルレポートや統合報告書などで数多くのトップインタビューを執筆。英国CMI認定サステナビリティ(CSR)プラクティショナー。2023年からオルタナ編集部。

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キーワード: #地球温暖化

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