公取委、ペットボトル再生にもの申す

記事のポイント


  1. 公取委がペットボトルリサイクルの在り方についての報告書を上梓した
  2. この報告書が今一部の人々の間で物議を醸している
  3. 同報告書を読んだ筆者が最も印象づけられたことを紹介する

■論考・サーキュラーエコノミー(23)

2023年10月、公正取引委員会がペットボトルリサイクルの在り方についての報告書を上梓した。

この報告書が今一部の人々の間で物議を醸している。長年に渡って容器包装リサイクル(容リ法)の推進、そして容器包装リサイクル法の実現に携わった関係者の間では、必ずしも評判が芳しくない。筆者も、同報告書に高い評価を与える一方、批判的な論点をいくつかもっている。

だが、ここでは同報告書を読んだ筆者が最も印象づけられたことを述べたい。一言で言ってしまうと「時代が変わった」ということなのである。何か当たり前すぎるように聞こえるかもしれないが、よく考えてみるとそうではないことが分かる。

容リ法が成立する前後のことを記憶されている読者なら分かるかもしれないが、当時、使用済ペットボトルがグッズ(有価物)になるとはほとんどの人が思っていなかった。

使用済ペットボトルは市町村にとって廃棄処理が容易ではなく、厄介者のバッズ(逆有償物)だった。できれば消費者に使って欲しくない代物だったのである。実際、ペットボトルの使用を止めようと訴えたキャンペーンもあったくらいだ。

だからこそ容リ法ができ、使用済ペットボトルが同法の主要対象物になったわけだ。かく言う筆者も、市町村に協力して容リ法の成立を強く主張し、バッズである使用済ペットボトルを拡大生産者責任の対象物とするよう論陣を張ったものだ。

■ペットボトルが取り合いに

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細田 衛士(東海大学副学長、政治経済学部教授)

東海大学副学長、政治経済学部教授。1953年生まれ。77年慶応義塾大学経済学部卒業後、同大学経済学部助手、助教授を経て、94年より教授。2001年から05年まで同大経済学部長を務めた。中央環境審議会委員や環境省政策評価委員会委員なども歴任した。

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