1着で7サイズ、成長する子ども服

記事のポイント


  1. 英国発アパレルブランド「プチ・プリ」は、1着で7サイズ分、成長する子ども服を展開する
  2. 100%リサイクル素材で、服に寿命が来ても、単繊維のためリサイクルも可能だ
  3. 日本でも2024年、期間限定で商品を体験できるポップアップイベントを開催する

子どもとともに「成長する子ども服」が話題だ。英国発アパレルブランド「プチ・プリ(PetitPli)」は、「長く着られる服」を目指し、1着で7サイズ分、成長する子ども服を展開する。100%リサイクル素材で、服に寿命が来ても、単繊維のためリサイクルも可能だ。日本でも2024年、期間限定で商品を体験できるポップアップイベントを開催する。(オルタナ副編集長・北村佳代子)

プチ・プリの子ども服は1着で7サイズ分成長する
プチ・プリの子ども服は1着で7サイズ分成長する

「プチ・プリ」の誕生は、同社を創業したライアン・マリオ・ヤシンCEO(最高経営責任者)自身の体験がきっかけだ。甥の誕生祝いに贈った服が、届いた時にはもう入らなかったのだ。子どもの成長スピードは速い。そのたびに、着られなくなった子ども服が処分に回る。アパレル業界が抱える大量廃棄問題の原因の一端を見た。

ヤシンCEOは、慶應義塾大学に留学中、完璧で考え抜かれたデザインを生み出す日本の職人技にインスピレーションを受けたという。「プチ・プリ」の独特のプリーツ生地は折り紙から着想した。そこに、インペリアル・カレッジ・ロンドンの航空工学で研究した知見も活用して、特殊な構造を持つ繊維を開発する。

「プチ・プリの素材は、左右に引っ張ると、ゴムのように薄くならず、左右・上下の双方向に伸びる。『負のポアソン比』を持つ、この構造技術は今、特許を申請中だ。今のプチ・プリの技術とデザインは、1千超もの生地の種類のテストと何千ものプロトタイプを作成した3年間の研究開発の賜物」と、オルタナに答えた。

子どもとともに、服も成長する

■徹底したサステナ視点

「プチ・プリ」は服1着を生産するのに、リサイクルペットボトルを12本使用する。マイクロプラスチックなどの原因を引き起こさないよう、生産過程での裁ち落としを最小限に抑える。

7着分の服を1着で済ませるメリットを享受するのは、顧客だけではない。同社にとっても、効率的な在庫管理ができるのだ。返品率も、業界平均の40%を大きく下回る2%だ。商品の輸送にかかるCO2も抑制される。

服の寿命が9カ月延びれば、CO2排出量と水使用量を20-30%削減できるという。修理が必要になれば、無料で対応する。

■ゼロから子ども服を設計

「プチ・プリ」は、服のユーザーである子どもを「リトルヒューマン」と呼ぶ。リトルヒューマンには、大人用衣服のミニチュア版ではなく、彼らのためにゼロから設計されたものを与えられる権利がある、と考える。

「リトルヒューマン」は、究極のアスリートだ。そのための服は、軽量で通気性もあり、防水・防汚コーティングを施し、耐久性にも優れていなければならない。コンパクトで収納もしやすく、家庭用洗濯機でも手軽に洗える。

「プチ・プリ」は2017年、問題解決のアイデアを生み出す発明家に贈られる「ジェームス・ダイソン・アウォード」を受賞した。2020年には、米TIME誌で「ベストイノベーション賞2020」にも選出された。

「プチ・プリ」の日本でのポップアップイベントは、同社インスタグラム(@petit.pli.jp)が随時告知する。

北村(宮子)佳代子(オルタナ副編集長)

北村(宮子)佳代子(オルタナ副編集長)

オルタナ副編集長。アヴニール・ワークス株式会社代表取締役。伊藤忠商事、IIJ、ソニー、ソニーフィナンシャルで、主としてIR・広報を経験後、独立。上場企業のアニュアルレポートや統合報告書などで数多くのトップインタビューを執筆。英国CMI認定サステナビリティ(CSR)プラクティショナー。2023年からオルタナ編集部。

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