オルタナ76号・「CSR48」が選んだ7つのトピック

雑誌オルタナ76号(2024年3月29日発行)の「CSRトピックス」を紹介します。企業の女性のCSR担当者を中心に集まったグループ「CSR48」が選んだトピックを届けます。

■サイボウズ、ITで能登半島を支援

倒壊した奥能登の家屋
倒壊した奥能登の家屋

サイボウズは令和6年能登半島地震を受け、1月から災害支援チームを派遣し、ITツール「kintone(キントーン)」を利用した支援を行っている。支援内容は、自衛隊や省庁とも連携しながら、災害関連情報の集約や整理、発信、災害ボランティアセンター運営など多岐にわたる。

現地の自治体からも、同社のサービスを利用できる「災害支援ライセンス」を導入し、情報集約、マッチング、進捗管理などを行いたいという要請が増えている。過去の災害現場で被災地職員と対話しながら構築した同社のツールは、災害支援のインフラとして活用の輪が広がっている。(CSR48・大西 香奈恵)


■サントリーがサステナブルアルミ缶

アルミの製造に再エネを活用
アルミの製造に再エネを活用

サントリーは1月30日「ザ・プレミアム・モルツ(サステナブルアルミ)」を数量限定で発売した。アルミ缶は住友商事・住商メタレックス・神戸製鋼所・大和製罐が共同で企画・製造。再生可能エネルギーを利用して製造した「グリーンアルミ」をマスバランス方式により割り当て、通常のアルミ缶よりCO2排出量を25%削減する。

同社は2030年までに温室効果ガス排出量を自社拠点で19年比50%、バリューチェーン全体で30%削減する目標を掲げている。その一環として、22年の100%リサイクルアルミ缶商品に続き、本製品を発売した。(CSR48・吉田 織江)


■「SDGsアワード」に車いすアプリ

中央左がウィーログ織田友理子代表
中央左がウィーログ織田友理子代表(出典: 首相官邸ホームページ)

一般社団法人WheeLog(ウィーログ)は、外務省の第7回「ジャパンSDGsアワード」で日本一となる「SDGs推進本部長(内閣総理大臣)賞」を受賞した。2023年12月19日には、岸田文雄首相から織田友理子代表に表彰状が授与された。

本団体は車いすで入れる飲食店、トイレ等のほか、通れた道に走行ログを付け地図上で誰もが共有できるバリアフリーマップアプリを提供している。「あなたの『行けた!』が誰かの『行きたい!』になる」がキャッチコピーだ。

「車いすでもあきらめない世界」をつくるため、そして「誰一人取り残さない」世界を目指し、今後も活動を続ける。(CSR48・大井 美歩)


■ダイソー、折り鶴をトロフィーに

「原爆の子の像」にささげた折り鶴を活用
「原爆の子の像」にささげた折り鶴を活用

100円ショップ「ダイソー」を運営する大創産業(広島県・東広島市)は、「天皇盃 第29回全国都道府県対抗男子駅伝競争大会」のスポンサーとして、優勝および入賞チームに広島平和祈念公園の折り鶴を再活用したトロフィーを授与した。

広島県立基町高等学校普通科創造表現コースの高校生と制作したもので、スポーツの振興と世界平和への願いを込め、実際に制作に関わった高校生3名が選手に手渡した。同社はこれまでも地域とのコラボレーション商品に力を入れてきた。

今後もさらに地域社会とのつながりを感じられる商品開発に取り組み続ける。(CSR48・秋竹 麻帆)


■「改正障害者差別解消法」が施行へ

障がい者が当たり前に働ける環境整備へ
障がい者が当たり前に働ける環境整備へ

2024年4月1日から改正障害者差別解消法が施行され、事業者(企業や団体、個人事業主やボランティア活動をするグループを含む)は「不当な差別的取扱いの禁止」と「合理的配慮の提供」が義務化される。

例えば飲食店の場合、障がいを理由に入店を拒否することは禁止され、車いす用のスペースを確保するなど、障がいを持った人にも同等なサービスを提供するような対応が必要になる。

今回の法改正をきっかけに、これまで以上にあらゆる場面で障がいのある人と話し合い、お互いの理解を深め、一緒に対策を考えていくことが重要になる。(CSR48・前田 京子)


■スポーツの力を気候変動対策に

「スポーツを通した社会変革」を掲げる
「スポーツを通した社会変革」を掲げる

「Sport For Smile プラネットリーグ」(主宰:一般社団法人 Sport For Smile )は、2021年に始動した日本スポーツ界の気候行動推進プロジェクトだ。プロスポーツクラブを対象に、国連「スポーツを通じた気候行動枠組み」の署名手続き支援や、具体的な行動を起こすためのリソースを提供する。

温室効果ガス排出量算定・可視化ソリューションを提供するゼロボード(東京・港)とも連携する。

Sport For Smile は「スポーツの力で社会を変える」を理念に掲げる。気候危機対策のほかには、DV家庭の子どもたちへのスポーツメンタリングなど、スポーツの力を活用した支援・啓発活動を展開する。(CSR48・石森 昌子)


■総監督のつぶやき: 気候危機の解決を世界平和にCSR48・太田康子

国内の気候・平和イベントとしては大規模
国内の気候・平和イベントとしては大規模

2023年は観測史上最も暑い年となり、世界的な人気女性アーティストのコンサートでは観客に死者がでました。会場に飲み物の持ち込みを禁止したことも影響したようです。

気候変動によって紛争が増えるということもわかっています。スウェーデンのシンクタンク・ストックホルム国際平和研究所のレポートは、水資源や放牧地をめぐる紛争、移住によるコミュニティの競争、武装勢力が困窮した人々を戦闘員として採用、一部エリート層による資源の搾取の4つを、紛争につながる経路としてあげています。

そんな危機的な状況に声を上げるため、青年世代による「未来アクションフェス」が、3月24日に東京・国立競技場で行われました。

本原稿は開催前に執筆しましたが、実行委員会にはピースボート、ICRC(赤十字国際委員会)、日本若者会議、グリーンピースなど13の団体、後援にはJCI(気候変動イニシアティブ)、国連広報センターなどが名を連ね、島谷ひとみらのアーティストによる歌やトークセッションなど、家族で楽しめるプログラムになっているでしょう。

フェスに向けて「核兵器」と「気候危機」に関する青年意識調査などが実施され、そこで明らかになった若者世代の声は共同声明として9月に開催の「国連未来サミット」に届けられます。「あと何年、この地球に暮らせるのだろう」という危機感を持つ連帯が、さらに大きなうねりとなっていくことに希望を託します。

「CSR48」は、企業のCSR担当者を中心に「CSRに関心のある女子たち」が集まったグループ。「CSRをもっと身近に」をミッションに、勉強会やイベントを実施する。⽬指すのはサステナブルな社会と、女性のエンパワーメントによって、利害や⽴場を超えて、より良い社会に向けたアクションをおこすこと。メンバーの所属は、商社、メーカー、ゼネコン、NPO法人などさまざま。 雑誌オルタナの連載の他、イベント登壇や4月はじまりのSDGsカレンダー発売など多彩に活動を広げる。オフィシャルブログ 執筆記事一覧

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キーワード: #CSR

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