水リスク対応を進める欧州企業――下田屋毅の欧州CSR最前線(36)

■ 水の情報開示の重要性の高まり

英国NGOカーボン・ディスクロージャー・プロジェクト(CDP)は、2010年から水の情報開示を企業に求め、「水資源」「水リスク」「水使用」に関する調査を実施してきた。CDPは、2013年には世界1036社(内日本企業21社)を対象に水の情報開示を求め、593社が回答、前年比59%増となっている。

CDP水部門トップのケイト・ラム氏は、「企業と投資家は一緒になって、水がもたらす世界的な課題に、効率的に、そして迅速に取り組む必要がある」と話す。

また、「2014年は水の情報開示の質問状を改訂予定で、日本とインドについて対象企業を拡大、2015年は、中国、ラテンアメリカ、ヨーロッパにおいて強化していく」とのこと。

CDPの水プログラムへの投資家の署名数は530で、この3年間で4倍となり、投資家からの水リスクへの関心が高まってきていることを表している。署名をした投資家資産は57兆米ドル(5700兆円)にも上る。

世界自然保護基金UK(WWF-UK)の水部門トップのクレア・ブレムリー氏は、水リスクに関して、「水リスクは、企業、政府、そしてNGOとで共有されるもので、協調した行動が必要。水の消費の効率を改善するだけでは水リスクを軽減するのに十分ではない。また、集水域内の他のステークホルダーとのエンゲージメントが必要であり、これらを達成するのに多くのツールやガイドラインが役立つ」としている。

また、投資家からの水の情報開示の要求も今後さらに高まるとしている。

shimotaya_takeshi

下田屋 毅(CSRコンサルタント)

欧州と日本のCSR/サステナビリティの架け橋となるべく活動を行っている。サステイナビジョン代表取締役。一般社団法人ASSC(アスク)代表理事。一般社団法人日本サステイナブル・レストラン協会代表理事。英国イーストアングリア大学環境科学修士、ランカスター大学MBA。執筆記事一覧

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