「より持続可能なオリンピックを」。5年後に開催予定の東京五輪を持続可能性の視点から考えるシンポジウムが7日、都内で開かれた。「最も持続可能な五輪」と評価された2012年のロンドン五輪を環境面から監視した独立委員会の元議長は「五輪が次世代にインスピレーションを残せたなら、持続可能と言える」と話した。(オルタナ編集委員=斉藤円華)
■「開催自体は持続可能でない」
シンポジウムは環境NGOのWWFジャパン、および自然エネルギー財団が主催した。1990年代以降、オリンピックの開催にあたり環境はスポーツ・文化と並ぶ「第三の柱」と位置づけられている。都は五輪招致に際して「環境を優先した東京大会」を打ち出し、IOC(国際オリンピック委員会)に「立候補ファイル」を提出。
その中で、具体的な取り組みとして「競技会場の建設では、標準的な建物よりエネルギー使用を35%削減する」「大会施設・会場では自然エネルギーを100%使用する」などを約束している。
英国政府はロンドン五輪の開催にあたり06年に「持続可能なロンドン2012委員会(CSL)」を設立。独立の立場で環境目標の達成を監視し、大会委員会に報告できる権限を持っていた。CSL元議長のショーン・マッカーシー氏は、持続可能な大会の実現のために「基本ルールの設定」「持続可能な調達方針」などが必要だと指摘。
その上で「多くの人が集まり、建物が建設される五輪の開催自体が持続可能であるはずはない。次世代に対して(持続可能性への)インスピレーションを与えられたなら、それは持続可能と言えるだろう」と訴えた。