世界初、工場内でイチゴの量産化: 200兆円規模の市場狙う

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記事のポイント


  1. 米国のスタートアップが世界で初めて植物工場でイチゴの量産に成功した
  2. 創業者は日本人、日本の技術力を軸にサステナブルな農業を目指す
  3. 天候に左右されない食料生産システムを構築し、200兆円市場を狙う

米Oishii Farm(オイシイファーム)は世界で初めて植物工場でイチゴの量産に成功した。日本の技術力を軸に、サステナブルな農業を目指す。天候に左右されない食料生産システムを構築できれば、200兆円の巨大産業に成長すると見込む。(オルタナ輪番編集長=池田真隆)

天候に左右されない植物工場で、一年を通じて高品質なイチゴの栽培を目指す

同社を創業したのは、日本人の古賀大貴CEOだ。古賀CEOは2015年に米カリフォルニア州に留学中、水不足による洗車禁止令を経験した。「先進国でもここまで水不足が進むのか」と危機感を抱いた。

一方、日本から輸入したイチゴを米国のミシュランシェフに届けると、その品質が高く評価された。ミシュランレストランやホールフーズで採用され、米国での高品質イチゴ需要を確信した。

最大の課題は受粉だった。同社は植物工場内でハチによる自然受粉を実現し、温度、湿度、光、CO₂濃度、風などを精密に制御した。世界で初めてイチゴの安定量産を実現した。

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ニューヨークのミシュラン星付きレストランの約20%に採用され、24年にはニュージャージー州で世界最大級のイチゴの植物工場を稼働させた。現在は米18州とカナダ1州で販売する。

植物工場は、主要市場の近くで生産することで輸送距離を短縮できる。化学農薬を使わない栽培により環境負荷を抑えられる。気候変動の影響を受けにくく、通年供給も可能だ。

一方、電力消費の大きさが課題だが、同社は再生可能エネルギーへの切り替えや省エネ技術の活用を進める。

■イチゴの通年供給目指す

日本でも25年から研究開発を進め、26年には国内での生産・販売開始を決めた。今年8月に東京都羽村市に立ち上げたオープンイノベーションセンターでは、植物工場向け品種、栽培技術、ファクトリーオートメーション、AI環境制御などを研究する。同センターの開所式には、NTTなど50以上の組織が参加した。

26年8月に立ち上げたオープンイノベーションセンターの開所式には、鈴木憲和・農林水産相ら(最前列左から5人目)も参加した。最前列左から6人目が古賀CEO

日本ではイチゴの流通が冬から春に集中するため、夏場を含む通年供給への期待は大きい。

古賀CEOは「日本は世界でもイチゴの品質基準が非常に高く、おいしさへの期待も大きい」とし、「高品質なイチゴが当たり前に求められる日本だからこそ、安定供給や栽培方法を含めた新たな選択肢へのニーズがある」と話す。

同社は26年5月、シリーズCで240億円を調達し、累計調達額は525億円に達した。環境省が支援する脱炭素化支援機構(東京・港)の公的支援も民間投資を呼び込む「呼び水」となった。

今後は日本のメーカーと連携し、植物工場のターンキーソリューション化を進める。施設園芸と工業技術を結集し、植物工場を軸に200兆円規模のサステナブル産業の創出を狙う。

M.Ikeda

池田 真隆 (オルタナ輪番編集長)

株式会社オルタナ取締役、オルタナ輪番編集長 1989年東京都生まれ。立教大学文学部卒業。 環境省「中小企業の環境経営のあり方検討会」委員、農林水産省「2027年国際園芸博覧会政府出展検討会」委員、「エコアクション21」オブザイヤー審査員、社会福祉HERO’S TOKYO 最終審査員、Jリーグ「シャレン!」審査委員など。

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キーワード: #ソーシャルビジネス

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