ゆっくりと進む「ルールブック」交渉
パリ協定自体が大きな「ルール」と言えますが、現在交渉が行なわれているのは、分野ごとのより詳細なルール作りです。
たとえば、パリ協定の下では、各国が自分で決めた目標(排出量削減目標など)達成に向けた取組みを実施していくということが義務になっていますが、その取組みを何年ごとに、どのような形式で報告するのか、というルールなどが議論されています(下記一覧の「透明性フレームワーク」に相当します)。
議題として上がっていた項目だけでもかなりの数になりますが、主な分野としては、パリ協定特別作業部会(APA)の下で議論されている6つの議題と、科学および技術助言に関する補助機関(SBSTA)の下で議論されている1つの議題があります(下記一覧)。
APAの議題項目
- 国別目標(NDC)に関するガイダンス
- 適応報告
- 透明性フレームワーク
- グローバル・ストックテイク
- 促進および遵守
- その他(適応基金の扱いなど)
SBSTA
- (市場)メカニズム
前回(2016年11月のCOP22)までの交渉では、各分野ともに、概念的な議論に留まっていましたが、今回の会議では、分野によっては、ルールブックの当該分野に関する「章立て」に相当するものの議論がされ始めました。
その結果は、それぞれの分野のファシリテーターによる「インフォーマル・ノート」と呼ばれる非公式文書にまとめられています。
また、次回の2017年11月のCOP23までに再度、各国からの意見提出を求めたり、ラウンドテーブルと呼ばれる、交渉ではない、やや非公式な意見交換の場を次回COP23の直前に開催することなども決まりました。
そうした今後の予定に関する決定はAPA、SBSTAそれぞれの結論(conclusions)と呼ばれる文書にまとめられています。
今後の交渉は、各インフォーマル・ノートの内容をより詰めて、2017年11月に開催されるCOP23が終了する段階で、「章立て」だけでなく、「本文」に相当する部分の下書きを議論する段階にたどり着けるかどうかが鍵となりそうです。
「緩和」「適応」「支援」の3分野をめぐって