WWFが見た国連気候変動ボン会議、パリ協定の行方

「2018年の促進的対話」について進む協議

もう1つ、今回の会議で重要だったのは、パリ協定が導入した特徴的な仕組みについての協議です。

パリ協定を特徴づける仕組みの一つとして、「5年ごとに、世界全体での取組み状況を見直して、各国の取組みに反映させる」という自己改善の仕組みがあります。

この最初の機会が、2018年に予定されており、「2018年の促進的対話」と呼ばれます。

パリ協定の下で各国が掲げている排出量削減目標は、パリ協定が掲げる「世界の平均気温上昇を、産業革命前と比較して、2度より充分低くおさえ、かつ1.5度に抑える努力を追求する」という大きな目標には全く足りていません。

このため、この「5年ごとの自己改善の仕組み」が機能するかどうかは、パリ協定全体の命運を握るといっても過言ではないのです。

2018年の促進的対話は、最初の「世界全体での取組み状況の見直し」に相当し、その後、2019~2020年の間に、各国は今の国別目標(NDC)を再度提出もしくは更新することになっています。

その際、必ず「目標を引き上げなければならない」とはなっていないのですが、ここには、目標の引き上げにつなげていきたいという意図が込められています。

このイベントの重要性は、WWFおよび環境NGOの連合体であるClimate Action Network (CAN) が、繰り返し強調してきました。

2016年のCOP22の決定に従い、今回の会議では、COP22議長国モロッコとCOP23議長国フィジーが共同で各国との非公式協議を通じて意見を聞いて回ることになっていました。

その協議は今後も続けられ、11月のCOP23の場で報告するということになっています。

非国家アクターの存在感

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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