本来の自然を子どもたちに伝えていく

more treesが考える、森と人との距離

対談の後半は、more treesさんが空間プロデュースを行ったビジネスラウンジ「T-TIME」へ移動し、お話を伺いました。

赤坂駅から直結しているT-TIMEでは、フローリングや壁面、家具などすべてに「more treesの森」として管理されている高知県中土佐町や岐阜県東白川村で育った国産材が使用されています。

――more treesさんは、国内だけでなくインドネシアでも森林火災で焼失したオラウータンの森を蘇らせるプロジェクトなどを行っていらっしゃいます。創設から10年目を迎え、これからのビジョンについて教えて下さい。

http://orangutans.more-trees.org

水谷さん:まずはこれまでの延長として、都会と森の距離をさらに近づけ、多くの人に木の良さを知って貰う「木育」を色々な方法で行っていきたいです。

自然に親しむには、実際に山へ行くのがもちろん一番良い方法です。でも、都会に暮らす人は、毎日とか毎週末などに頻繁に行くのは難しいですよね。

T-TIMEのように都会で木を使うということは、森の恵みをライフスタイルにゆるやかに取り入れていくことです。ですから、私たちはこれからも引き続き、日常のなかで木が使われるようにしていきたいです。

実際に「身近に木の製品はありますか」と尋ねると、「う~ん」と答えられない人が多いです。もちろん、その背景には商品のデザインがいまいちといった供給者側の問題もあります。

デザイン性だけでなく、木を使って貰うには、科学的な側面も含めて木の良さを伝えていく必要があります。

例えば、木には人を癒す力もあります。仕事の能率が上がるとか、イライラが軽減されるといった効果もあると言われています。ある調査では、木造校舎ではインフルエンザにかかる子どもの数がそうでない校舎よりも少ないという結果も出ています。

子どもの頃から、木のおもちゃで遊んでいると、その先の人生でも自然との距離がより近くなると思います。木の良さを知った子どもさんは、将来、住まいに木を取り入れようと考えるでしょう。でも木の良さを知らないと、自然との距離は遠くなってしまいます。

新しい取り組みとしては、すでに話したように林業一辺倒でなく、森のさまざまな顔を生かし、森の将来像に合わせて木を植えるようなことも行っていきたいですね。

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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