アマゾンの買収、コンシャス・キャピタリズムを問う

コンシャス・カンパニー(意識の高い企業)とは、①主要ステークホルダー全員と同じ立場に立ち、全員の利益のために奉仕するという高い志に駆り立てられ、②自社の目的、関わる人々、そして地球に奉仕するために存在するという意識の高いリーダーを頂き、③そこで働くことが大きな喜びや達成感の源となるような活発で思いやりのある文化の根ざしている会社です。

コンシャス・キャピタリズムとは、あらゆるステークホルダーにとっての幸福と、金銭、知性、物質、環境、社会、文化、情緒、道徳、あるいは精神的な意味でのあらゆる種類の価値を同時に創り出すような、進化を続けるビジネスパラダイムのことだとしています。すべてのステークホルダーに配慮する志の高い企業、経営のことと考えて良いでしょう。

アマゾンの下で、こうした高尚なコンシャス・カンパニー、コンシャス・キャピタリズムの考えを貫くことはできるでしょうか?アマゾンは長期的視座を持っている企業であり、短期利益を追求するアクティビストに支配されるよりはずっと良いでしょう。

アマゾンは、「幸せを届ける会社」ザッポスを買収しても独立した経営、独立した文化を認めており、ホールフーズに対しても、コンシャス・カンパニーの経営を、それが長期的な成功・成長につながると考えれば、認める可能性は高いと思います。

最近は、社会性を追及する企業が、短期投資家の圧力にさらされるケースも増えています。社会性を追求する企業が短期投資家の圧力を避ける方法として、非上場のままでいることに加え、長期視点を持つ企業の傘下に入るという選択肢もあります。ホールフーズがアマゾンの傘下に入ることは、うまくいけば、このケースに当たります。

いずれにせよ、ホールフーズは業績の改善が求められており、社会価値と企業価値を両立させるCSV/シェアード・バリューの考えを取り入れる必要があるでしょう。

ホールフーズがシェアード・バリューを推進し、デジタル・テクノロジーなどを取り入れてそれを進化させ、アマゾンもまたその考えを取り入れるような流れができれば、シェアード・バリューを広げる観点からは、最高のシナリオです。今後の動きに注目です。

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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