有機農業にかかわって40年以上経つ。つい先だって、1960年代の最後から70年代を全学連委員長として駆け抜け、その後大地を守る会の初代会長となった故藤本敏夫の17回忌があり、縁あるものが集まった。
彼が亡くなったのは58歳、ぼくはその歳を10年近く超えたことになる。彼は亡くなる直前の2002年、時の農林水産大臣だった武部勤に、農業の復活と都市生活の活性化を図るため、建白書「農的幸福論」を提出し、これを最後の社会的発言としている。そして武部は葬儀に参列した。建白書の一部を紹介する。
農林水産省、および農林水産大臣が国民に正面から語らねばならぬことを不遜ながら短くまとめれば、以下のように言えるのではないでしょうか。
「『健康と環境』を保全する『持続と循環』の仕組みを持った農業と地域社会を創り上げ、『公開と公正』に基づく国民的合意の中で、日本及日本人の『自給と自立』を達成すること」
具体的には「21世紀型地域社会『持続循環型田園都市』と21世紀型生活スタイル『里山往還型半農生活』を創造すること」。
「農業」を中核に据えた日本の地域社会づくりと「農的生活」をベースにした、日本人の生活設計が農林水産省の目指すべき目的・目標だといえましょう。今こそ21世紀の希望を行政目標として、そして個別政策として語ることが必要なのだと確信するものです。
彼の視点は常に先を見ていた。今、日本の地域づくりに関わる動きは上記の視点に基づいて進んでいるといっても過言ではない。否、人口減、環境問題、格差問題、グローバルからローカルへという動き、エシカル、フェアという時代を担う課題の解決は、「ローカル」と「持続と循環」という視点なしにはなしえない。その中核には常に「有機農業」がある。
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