「楽エコ教習」10周年、2万人をエコドライバーに

小学生向けエコドライブ出張授業

指定自動車教習所ファインモータースクール(さいたま市大宮区)が地球温暖化対策として開発した「楽エコ教習」が、11月1日に10周年を迎える。同社は燃費が向上し安全性も高まるエコドライブの価値にいち早く着目し、全教習の指導に導入。9月末までに3つの教習所から21,908人の卒業生を送り出した。学校や企業、自治体などでの啓発活動も含めれば、これまでに約3万4000人が同社からエコドライブを学んでいる。(オルタナ編集委員=瀬戸内千代)

通勤とレジャーで年に約1万キロメートル走行する人がエコドライブを実行した場合、年間3万5000円以上のガソリン代を節約できるという。急発進や急ブレーキを避ける運転技術は安全にも寄与するため、国は、行楽シーズンの11月を「エコドライブ推進月間」と定めている。

同社は、車両特性に合わせた楽エコ教習として、「ハイブリッドカーコース」や、2モーター式HV車対応の「プリウスコース」を開発。すでに免許を持っている人向けには、この2種の講習に加えて「EV講習」や、路上で燃費を計測する「楽エコ運転講習」も用意した。

しかし、運転すれば二酸化炭素の排出は避けられない。そこで、2010年にNPO法人ドングリの会と協定を締結。教習料金の一部を寄付するとともに「ファインの森づくりプロジェクト」を始めた。今年も30人の参加者を公募し、11月24日に広葉樹林の手入れに出かける。

秋には毎年、教習所を開放して「親子交通安全フェスティバル」を催す。大宮校は今年が20回目だった。指扇校と上尾校のフェスでは新たに「やさしさ運転グランプリ」を実施した。

参加した親子30組は、車上の皿に水を満たし、時間内にクランクやS字のコースを走行。エコドライブに重要な「角のない運転」を目指し、うち9組が、規定以上の水を残せたという。

満杯の水をなるべくこぼさないように走行する「やさしさ運転グランプリ」

同社は地域の学校と連携し、小中学生にもエコドライブを教えている。営業企画部広報チームの齊藤千絵氏は、「体験型授業を通じて幼いころからエコドライブに親しむことで、大人になって当たり前のように取り組んでもらえれば。お子さんが親御さんの運転をチェックする効果にも期待している」と語った。

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瀬戸内 千代

オルタナ編集委員、海洋ジャーナリスト。雑誌オルタナ連載「漁業トピックス」を担当。学生時代に海洋動物生態学を専攻し、出版社勤務を経て2007年からフリーランスの編集ライターとして独立。編集協力に東京都市大学環境学部編『BLUE EARTH COLLEGE-ようこそ、地球経済大学へ。』、化学同人社『「森の演出家」がつなぐ森と人』など。

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