トヨタの「問題解決」:真因の追求が有効な対策に

■「人がいない」では解決しない

NPOでも企業でも「もっと人がいれば」と考えることは多いだろう。今回のカイケツでも、「業務が一人に集中する」「時間がない」という悩みが多く、「もっと人がいれば解決するはずだ」という声が複数あった。

それに対し、中野昭男講師(元トヨタ自動車、のぞみ経営研究所長)は「『なぜなぜ』を繰り返す真因追求の結果、『人がいない』という結論に至ってしまうと、解決が難しくなってしまう」と指摘する。

「例えば、『会議の準備に時間がかかる』という問題に対して、『人がいないから時間がかかる』と結論づけるのではなく、なぜ時間がかかってしまうのかを分解して考える必要がある。そのなかでシステムの問題なのか、情報共有の問題なのかなどが見えてくる。真因が分かれば、それに対する『対策』も見えてくるはず」と助言する。

「対策立案」のワークショップを終えて、参加者からは「同じ悩みでも、要因解析をしてみると違った対策が出てくる。一連のステップを踏んでいく重要性が分かった」といった声が寄せられた。

今後、参加者は「対策立案」を実行し、1月にその成果を発表する。古谷健夫講師(クオリティ・クリエイション代表、元トヨタ自動車)は「成果発表会はより良くなるための通過点で、ゴールではない。その先にあるものを目指して取り組んでいってほしい。トヨタの『A3資料』は、第三者に分かりやすく伝え、仲間を巻き込むためのもの。ぜひストーリーと起承転結があるにこだわってほしい」と激励した。

muroi

室井 孝之 (オルタナ総研フェロー)

42年勤務したアミノ酸・食品メーカーでは、CSR・人事・労務・総務・監査・物流・広報・法人運営などに従事。CSRでは、組織浸透、DJSIなどのESG投資指標や東北復興応援を担当した。2014年、日本食品業界初のダウ・ジョーンズ・ワールド・インデックス選定時にはプロジェクト・リーダーを務めた。2017年12月から現職。オルタナ総研では、サステナビリティ全般のコンサルティングを担当。オルタナ・オンラインへの提稿にも努めている。執筆記事一覧

執筆記事一覧
キーワード:

お気に入り登録するにはログインが必要です

ログインすると「マイページ」機能がご利用できます。気になった記事を「お気に入り」登録できます。
Loading..