世界最大級の素材化学品メーカーが循環経済打ち出す

――自社で使用するエネルギー量の削減にも取り組んでいますね。

自然エネルギーへの切り替えはサーキュラ―エコノミーを実現する上で重要なことだと認識しています。グローバル目標として、2025年までに排出する温室効果ガスの量を2005年比で半分に減らすことを掲げています。

日本を含めて世界33カ国に拠点を持ちますが、すべての製造工場で自然エネルギーに切り替えることを目指しています。第一弾としては2019年にデンマークの電力事業者オーステッド社と世界最大規模に及ぶ法人契約を結びました。2025年から10年かけて、ドイツ国内の電力需要の大部分をオーステッド社の風力発電所から調達します。

また、人工知能など最先端なテクノロジーを駆使して、製造におけるエネルギーの効率化も進めます。これらの技術で、基礎化学品である塩素の製造に必要な電力量を25%削減できました。

写真:川畑嘉文

[インタビューを終えて] 
世界最大級の素材化学品メーカーがサーキュラーエコノミーを打ち出すのは並大抵のことではない。

もちろん、「掲げた目標を達成できない」リスクもあるが、まずは目標を掲げた決断を評価したい。その勇気は、同業の日本企業にも参考になるだろう。

最近、環境領域でアンビション(野心)という言葉をよく聞く。その多くは温室効果ガス削減のための「野心的な」長期目標を意味する。その実現のためには、現在を起点にする「フォアキャスティング」ではなく、未来を起点にした「バックキャスティング」の発想が不可欠なことは言うまでもない。(森 摂)

[会社概要] 
1863年に創業した独バイエル社は「ヘルスケア」「農薬」「化学素材」の3つの事業を運営していたが、このうち化学素材部門が2015年9月に独立し、「コベストロ」として同年10月、フランクフルト証券取引所に株式上場した。2020年9月にDSMコーティング樹脂部門買収合意。主力製品は、ポリウレタン原料やポリカーボネート、コーティング塗料や接着剤など。

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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