東商が優れた環境活動表彰、大賞にブランシェスなど

■ハンバーガーで持続可能性伝える

「eco検定アワード2020」エコピープル部門の受賞者ら

エコピープル部門大賞となった浅野さんは、2000年から自治体主催事業や学校などで環境講座を担当し、気候変動、プラスチックや食品ロスの削減、生物多様性保全など多様なテーマで講演している。

最近ではハンバーガーを題材に、パーム油や牛肉、紙などを巡る環境・社会課題について問題提起し、身近な話題で「環境配慮行動への変革」につなげようと工夫してきた。

「高校生向けの講座でも、一方的に話すのではなく、クイズ形式にするなど考える機会を提供するようにしている。みんなが好きな『ハンバーガー』をテーマにすることで関心を高められたら」(浅野さん)

名古屋で開催された学生討論会「ごみ減量から始めるSDGs」では、学生たちにごみを捨てる責任とごみ削減方法について真剣に話し合う場づくりを支援した。浅野さんは「消費には責任が伴う。消費者の選択が社会を変えていくということをこれからも地道に伝えていきたい」と意気込んだ。

「eco検定アワード2020」受賞者一覧は次のとおり(※同賞内は五十音順)。

【エコユニット部門】
◆大 賞 
ブランシェス株式会社(大阪府)

◆優秀賞
・イオンモール株式会社(千葉県)

イオングループとして、全国の店舗や山地などで植樹活動を実施し、「イオンふるさとの森」づくりを行っている。植樹本数は累計1212万本に達した。脱プラの取り組みにも力を入れ、2019年度は全てのモールで使い捨てプラスチック製ストローの提供を終了。さらに新規モールでは再生可能エネルギーの導入を進める。

・エスペック株式会社(大阪府)
自分の言葉で環境を語れるようにと、管理職のeco検定合格率100%を目指し、社長をはじめ対象となる189人の全員合格を達成した。企業ができる生物多様性保全活動として「在来種にこだわった屋上緑化」も提案。六甲北部のあぜ道を再現した屋上緑化では、四季折々の草花を楽しめる。いきものコレクションアプリ「Biome」を共同開発するなど、生物多様性の重要性を広く伝えている。

・大和リース株式会社(大阪府)
環境に配慮した安全で安心な地域づくりを目指すため、大和リースが運営する商業施設内に場所を提供し、2012年から現在全国11カ所でNPO法人「まちづくりスポット」を展開。福岡では、商業施設内にフードバンクの活動拠点を無償で設置する取り組みも実施した。2040年までに電力使用量の100%を再生可能エネルギーでまかなうことを目指し、再エネの推進にも力を入れている。

・三重中央開発株式会社(三重県)
2000年に開始した「環境ラリー」では全10項目の環境活動を全従業員(614人)で実施し、実施項目を毎月集計・発表している。SDGsの目標にも関連させ、全従業員が一丸となってSDGsの目標達成に貢献する体制作りを行う。毎週水曜日をリサイクルデーとして設定し、各家庭や各部署からアルミ缶・紙ごみを回収し、グループ会社で再資源化を行う。

◆奨励賞 
・国立大学法人東海国立大学機構岐阜大学(岐阜県)

岐阜大学グリーンキャンパス構想の実現に向け、学生の視点からキャンパスの自然環境を守る活動を展開。2019年度は敷地内で放置されていた鷭ヶ池(ばんがいけ)に着目し、学生主体で基礎調査(水質・動植物・文献)を実施した。ISO14001の内部監査では、教職員と学生がともに監査員として参加するほか、監査員を務めた学生と学長が意見交換する機会も提供している。

【エコピープル部門】
◆大賞

浅野智恵美氏(愛知県/公益社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会)

◆優秀賞 
・上野山友之氏(和歌山県/和歌山県有田川町役場)

有田川町役場職員としても個人としても、持続可能なまちを目指して自立した地域づくりに取り組む。特に環境部局でエコなまちづくりの発信事業を担当していた経験を生かし、有田川町の環境活動や、環境負荷の低減に取り組む起業家、農家の記事についても発信し、多方面からエコなまちをPRしている。

・田原正康氏(兵庫県/大都美装株式会社)
省エネ機器や太陽光発電設備の活用で電気使用量を削減するほか、プラグインハイブリッド車の活用、通勤に自転車および電車を利用するなど、化石燃料の節約に取り組む。また、水洗トイレに雨水、風呂水、井戸水を使用したり、コンポストで生ごみを処理したりするなど、節水や廃棄物削減にも努める。これらを環境家計簿に記録し、継続的に分析、評価している。

・林啓史氏(東京都/株式会社バスクリン)
中小企業診断士として創業支援を行っているが、新規創業セミナーでは、環境やSDGsについても学んでもらえるようにカリキュラムを構成している。所属先のバスクリンでは、4年前から有志とともに、メイン工場の工場排水が流れる瀬戸川の水環境を調べる取り組みを行う。小学生低学年向けに水の大切さを伝える講義も行っている。

muroi

室井 孝之 (オルタナ総研フェロー)

42年勤務したアミノ酸・食品メーカーでは、CSR・人事・労務・総務・監査・物流・広報・法人運営などに従事。CSRでは、組織浸透、DJSIなどのESG投資指標や東北復興応援を担当した。2014年、日本食品業界初のダウ・ジョーンズ・ワールド・インデックス選定時にはプロジェクト・リーダーを務めた。2017年12月から現職。オルタナ総研では、サステナビリティ全般のコンサルティングを担当。オルタナ・オンラインへの提稿にも努めている。執筆記事一覧

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