仏宅配企業、「フェア・フライデー」で失業者を支援

フランスのオーガニック食宅配企業が、失業などで社会から疎外された人々にオーガニック食を格安の1ユーロ(126円)で提供する。11月10日から12月21日まで、米国と欧州で共通のバーゲン日「ブラック・フライデー」(11月27日)に対抗し、「フェア・フライデー」としてクラウドファンディングで資金を集めている。その資金でオーガニック食を1年間作り、失業者の再雇用を支援するNGOが運営する食品店に収める予定だ。(在パリ編集委員=羽生 のり子)

ルタバゴの袋。レシピは「和風卵焼き」

「ルタバゴ」は、自宅で料理できるよう分量を調整した100%オーガニックの食材を宅配する企業だ。2016年創立で、パリ18区にある。週替わりの料理から最低3種類選ぶと翌週ダンボールでレシピと共に配送される。レシピに従って調理すれば30分でできるので、料理で頭を悩ます必要がない。1食分は約5ユーロ(630円)だ。

フェア・フライデーのキャペーンは4年前から続けている。この期間に集めた資金で1食を2.5ユーロ(315円)で作り、NGO「オーロール」が運営する店に2食入りの袋を2週間に1度配送する。

ルタバゴの袋が入っている冷蔵ケース。扉にルタバゴのロゴが貼ってある

「オーロール」は失業者や低収入の人を支援するため、パリ郊外で「連帯の食品店」を運営している。市の福祉課の紹介で来た人たちが、半年か1年間、この店で生活必需品を買うことができる。

商品はフードバンクの提供品と、スーパーから無料で譲り受けた賞味期限が近い食品だ。価格は通常売価の10%か25%で、ほとんどが1ユーロ以下。ルタバゴのオーガニック食は1袋1ユーロで販売する。限られた予算でやりくりすることを学んでもらうため、無料にしないのが店の方針だ。

「ルタバゴと提携したのは、支援している人たちに新しいものにチャレンジして欲しいから。提携はとてもうまく行っている」と、モントルイユ市にある店の職員、クレール=マリー・メシエさんは説明した。

訪問した週のレシピは和風卵焼きとパスタ、大根の千切りだった。世界の料理を扱っているので、ルタバゴの担当者を呼んで料理教室を開くこともある。

hanyu

羽生 のり子(在パリ編集委員)

1991年から在仏。早稲田大学第一文学部仏文卒。立教大学文学研究科博士課程前期終了。パリ第13大学植物療法大学免状。翻訳業を経て2000年頃から記者業を開始。専門分野は環境問題、エコロジー、食、農業、美術、文化。日本農業新聞元パリ特約通信員、聴こえの雑誌「オーディオインフォ」日本版元編集長。ドイツ発祥のルナヨガ®インストラクター兼教師養成コース担当。共著に「新型コロナ 19氏の意見」(農文協)。執筆記事一覧

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