免疫力を上げる食生活とは

【連載】KIYOの哲学

私たちの体には「免疫」という機能が備わっている。免疫が十全に働いていれば、疾病に陥る確率は低くなるが、分かっていることは意外と少ない。

第一に免疫とは何ぞや、という問いに対する答えは、自己と非自己を分ける装置である。例えば非自己である細菌やウイルスは自然界に無数に存在し、日常的には私たちと共生している。だから、私たちの体内に侵入してこなければ、私たちはそれらに対して寛容だが、体内に侵入しようとすると免疫が働いて、非自己を排除し、自己を守るために、それらを殺してしまう。

何らかの理由で免疫力が低下している場合には、殺しきれないこともあり、細菌やウイルスが体内で培養されてしまうと、私たちの体は次の段階の新たな戦いを繰り広げることとなる。その戦いに勝てば健康を取り戻すが、負ければ場合によっては死に至ることもある。

免疫力を低下させてしまう原因の一つは、生活習慣病などの慢性疾患だ。細菌に関しては、それを撲滅するための薬剤が開発されてきたのだが、ウイルスに関しては無力に等しく、特効薬もなければ、開発されているワクチンも限られていることが多い。

ウイルスに打ち勝つためには、私たち自身の免疫力を高く保つということ以外に、手がないのである。その免疫力を高く保つための栄養素が何であるのかは、栄養学が解明してきた。ビタミンA、ビタミンB群、ビタミンC、ビタミンE、そして亜鉛の5種類だ。それらを満遍なく、過不足なく摂取することで、私たちの免疫力は確実に上がる。

それに加えて、多種類の植物栄養素を摂取することで、免疫力はさらに高まる。まさしくこの連載の中で述べてきたような食生活、食習慣をし続けることなのである。

未精製の穀物と豆類を食事の中心に据え、葉野菜・果菜のグループと根菜のグループを等量摂るようにし、動物性たんぱく質を食事全体の10%程度食べ、海藻・キノコ類・オイルを含めた調味料を適宜使って料理を作る、というのが理想なのである。

今の食料生産の方法、特に食肉生産の方法を続ける限り、私たちの食の安全は保障されない。生産現場を発生源として「パンデミック」は必ず起こると予言する生産者はかなりいる。

これからの時代は、様々な意味で、免疫力を高く保つ必要がある。そのためには、日常の食事を見直し、可能な限り「オプティマルフードピラミッド」に近い食生活を実践することであると考察する次第である。

Likoのワンポイントアドバイス

我々の身体は、食べた食事で作られる。だからこそ、どのように育った食材なのか知ることが重要。食材の栄養価は、育った土の状態に大きな影響を受けることはあまり知られていない。

しかし土から養分を得て育つことを考えれば至極当然なこと。土壌菌が豊かで健全な土をつくり、農薬を使わず育った野菜はフィトケミカルをはじめとする栄養素が豊富であるという。

農薬や化学肥料を必要としない有機栽培は、安全だけでなく、人間の腸内を豊かにし免疫力を高めてくれる。免疫力を高めたい人はぜひ有機の畑、田んぼで育った食材を摂ってほしい。

KIYO(南 清貴)
フードプロデューサー・一般社団法人日本オーガニックレストラン協会代表理事。「オプティマル・フード・ピラミッド」を料理の中心に据え、自然食やマクロビオティックとは一線を画した創作料理を考案・提供している。「オプティマルクッキングアカデミー」受講生募集中! 最新刊は『大切な人に食べさせたくないもの、食べてほしくないもの』(ワニ・プラス) www.kiyo-san.jp/

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ココロとカラダと地球に優しいスロースタイルを発信するNPO法人Liko-net/照井敬子

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KIYO (南清貴)

KIYO(南清貴) 一般社団法人日本オーガニックレストラン協会代表理事 食事の大切さを提唱し家庭料理のシステム化の普及に取り組んでいる。著書『行ってはいけない外食【10万部突破】』(三笠書房)、『究極の食』(講談社)等多数。最新刊『大切な人に食べさせたくないもの食べてほしくないもの』(ワニプラス)。

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