編集長コラム
「社会に損害を与える企業はいずれ自らの行為に対するしっぺ返しを受け、株主価値を棄損することになる。対照的に、強い企業理念を掲げ、ステークホルダーに真摯に向き合う企業は、顧客とより深くつながり、絶えず変化する社会の要求に適応できる。究極的には、企業理念が長期的な収益性の源泉となる」
これは米資産運用会社ブラックロックのラリー・フィンクCEO が投資先に送った2020年の年頭書簡の一文です(2021年の年頭書簡も近々、オンライン記事でご紹介します)。
サステナビリティ(持続可能性)について、これほど明快で、力強い経営者の文章を見たことはありません。
ましてや、ブラックロックは、その運用資産残高(2020年末)が8.68兆米ドル(約896兆円)に達します。日本のGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人、同172兆円)の5倍強を誇る世界最大級の機関投資家で、その影響力は甚大です。
この言葉に動かされない経営者は、上場企業でなくても、いないはずです。もはや「利益かサステナビリティか」ではなく、この2つは同軸で動かすべきものであることが分かります。