社会課題を解決するための「自然の利用」とは

【連載】ALTキーワード

今回紹介するキーワード:自然を基盤にした解決策(NBS)

近年、気候変動・水や食料の安全保障・自然災害など多様な社会課題を取り扱う人々の間で「自然を基盤にした解決策」(NBS, Nature-based solutions)と呼ばれる概念が支持されるようになった。

例えば国連世界水発展報告書の2018年版では「水のためのNBS」が標題となったほか、2020年には国際自然保護連合(IUCN)が「NBSのためのグローバルスタンダード」を発表している。

NBSとは「社会課題を解決するため、自然が持つ機能を利用・模倣する取り組み」のこと。例えば水質汚染を防ぐために行う「湿地の造成」などがこれに当たる。

類似概念にグリーンインフラ(日本では国土交通省が推進)やEcoDRR(生態系を活用した防災・減災)もあるが、「これらを包括する概念としてNBSを位置付けるべき」とする主張もある。

注目点は、NBSの第一義があくまで社会課題の解決であることだ。これには「自然を保護しよう」とだけ述べて実際には何もしないという無為の状況を避ける意味がある。

つまりNBSでは、課題解決のために「自然が適切に管理されているかどうか」が重視される。

morihiroshi

もり ひろし(新語ウォッチャー)

新語ウォッチャー。国語辞典の新項目執筆を中心に活動。代表的な連載に「現代用語の基礎知識」の流行観測欄(2010年版~)など。執筆記事一覧

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キーワード: #環境

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