野村不、木のルーバー付きオフィスビルで森林認証

野村不動産はこのほど、東京・千代田区に今年2月に開業するオフィスビル「H¹O(エイチワンオー)平河町」で、国際的な森林認証制度「SGEC/PEFCプロジェクトCoC認証」を取得したことを発表した。同認証の取得は不動産デベロッパーやオフィスビル分野では初めて。H¹O平河町には外観や専有部に多くの多摩産の杉材をルーバー(よろい戸)として使用している。オフィスビルでの木材の使用はリラクゼーション効果などが期待できるという。 (オルタナ編集部・松田ゆきの)

多摩地域で生産された杉の木を部材に使用

「SGEC/PEFCプロジェクトCoC認証」は、「社会」「環境」「経済」の各項目の要件を満たす「持続可能な森林経営」を行っているかどうかを基準に産出された木材を使うことで、建築物などのプロジェクトを認証する制度だ。オフィスビル分野以外では、これまでに有明テニスの森公園、富士山世界遺産センターなどが取得している。

今回認証された野村不動産のオフィスビル「H¹O平河町」のH¹Oは「Human First Office」という意味で、本社オフィスの分散化や1区画単位での拡張・縮小といった「オフィス効率化」を目指す同社のブランドだ。

   「H¹O平河町」の外観

H¹O平河町は東京・多摩地域で生育、生産された杉の木を、CoC(Chain of Custody=管理の連鎖)認証を取得している業者から仕入れ、外観や専有部のルーバーとして採用している。

林野庁によると、木材にはリラクゼーション効果や知的生産性の向上などの影響があるという。全室に木製のルーバーを取り付けた窓を設置したH¹O平河町は、暖かみも感じられる造りとなっている。2月の開業を予定しており、従業員10名未満の小規模オフィス市場を狙う。

SGEC/PEFCは日欧の森林に関する相互承認制度

「SGEC/PEFCプロジェクトCoC認証」のPEFC(Pan European Forest Certification Schemes)は、1999年に欧州で発足した「汎欧州森林認証制度」だ。2003年に北米や豪州など欧州以外の国々が加盟したことをきっかけに、世界各国の森林認証制度との相互承認を始めた。近年はアジアや南米、アフリカ地域でも活動を展開している。2021年1月時点でPEFCのメンバーは55か国となった。

一方、SGEC(緑の循環認証会議)は2003年に日本国内の認証制度として創設された。2014年にPEFCへ加盟し、2015年にPEFC国際認証制度との相互承認の申請を行っており、日本国内のPEFC認証制度の管理運営を担っている。

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