ネットゼロへのエンジン、「EUタクソノミー」とは

「EUタクソノミー」は6つの環境目標のうち、1つ以上に貢献する経済活動でなければならず、更にテクニカルスクリーニング基準が決められている。

ガス火力発電では、1kWhあたりのライフサイクル全体の温室ガス排出量が100g未満。

自動車では、水素自動車、燃料電池車、電気自動車は適格。ガソリン車、ハイブリッド車は2025年まで1kmあたりの温室効果ガス排出量が50gまでを基準適合としている。

「EUタクソノミー」はESG投資に合致するサステナブルな経済活動の基準を明確化し、ESG投資を標榜する投資家の「ESGウオッシュ」を排除し、2050年ネットゼロに向けた具体的道筋を明示したと言える。

引き続きEUは2020年1月14日、「欧州グリーンディール投資計画」を発表。今後10年間でEU予算、欧州投資銀行(EIB)からの投資も加え、官民で1兆ユーロ(約120兆円)の投資計画を発表した。

更に欧州グリーンディール実現のための具体策として、2020年3月4日、欧州気候法案を発表し、2020年6月にはEUタクソノミーの法制化が合意された。

いずれも2050年ネットゼロを、法的な拘束力のある目標として位置づけたものであり、2050年ネットゼロに向けた具体的行動を前進させるエンジンである。

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室井 孝之 (オルタナ総研フェロー)

42年勤務したアミノ酸・食品メーカーでは、CSR・人事・労務・総務・監査・物流・広報・法人運営などに従事。CSRでは、組織浸透、DJSIなどのESG投資指標や東北復興応援を担当した。2014年、日本食品業界初のダウ・ジョーンズ・ワールド・インデックス選定時にはプロジェクト・リーダーを務めた。2017年12月から現職。オルタナ総研では、サステナビリティ全般のコンサルティングを担当。オルタナ・オンラインへの提稿にも努めている。執筆記事一覧

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キーワード: #ESG#SDGs

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