SDGsネイティブ時代の企業コミュニケーション

これから消費の中心となっていく世代、ミレニアル世代やZ世代と呼ばれる彼らの多くは、物心がついたときから環境問題などを身近な危機として捉える「SDGsネイティブ」であるといわれている。いままでと違った価値観や考え方をもつ彼らに対して、企業はどう向き合っていけばよいのだろうか?

SDGsネイティブの特徴

定義や世代の幅については諸説あるが、社会課題や環境問題への関心が高く課題解決への意欲がある、主にミレニアル世代(1981年〜97年生まれ)とZ世代(1998年から2010年生まれ)の若者の総称とされている。

2001年の米同時テロや2011年の東日本大震災などの出来事を目の当たりにし、環境問題や社会課題を自分事化して捉える傾向がある。また小・中・高などの教育機関における教育も大きく変化し、SDGsが教科書に組み込まれるようになった。これからは、当たり前のようにSDGsの考えを身につけている世代が社会の中心になっていくのだ。

SDGsネイティブに伝わるメッセージとは

彼らにとってSDGsは特別なことではなく、自分たちが生きるうえでの身近な問題。自社の取り組みが17のゴールのどれに当てはまるかを提示するだけではなく、彼らの生活や興味関心とつなげてみせる工夫などが効果的な手法として考えられる。

そして、彼らの中では環境や社会問題に配慮した商品を意識的に購入する考え方も根付いてきている。このときも環境負荷が少ないなどの機能だけを謳うのではなく、背景にある商品を通して目指したい未来など、企業としての意志や信念を語るストーリーの提示が、彼らの共感を呼ぶことにつながっていく。

また彼らにとってSDGsは、日々生きている中での違和感や課題を解決する手段でもある。彼らが直面している様々な問題を解決するために、具体的な行動を起こす機会をつくってあげるというのも有効なアプローチのひとつだ。

それは商品を買う事かもしれないし、SNSに投稿することや、イベントに参加することかもしれない。

SDGsネイティブの中でも、日常で感じている課題を解決したいとは思っているが、どう行動していいかわからないという人はまだまだ多い。そんな彼らに興味関心をもってもらうきっかけをつくれるのではないだろうか。

SDGsネイティブは、消費で重要な存在になっていくとともに、社会の中心で活躍していく人材でもある。企業はマーケティング活動だけではなく採用活動においても、彼らにいかに振り向いてもらうかを考えていく必要がある。

彼らは多くの企業不祥事を目の当たりにして、大企業への信頼やブランドには懐疑的だ。近年は、就職する企業を選ぶ際に、SDGsの取り組みを評価基準のひとつとしてみる傾向もある。

優秀な人材の確保は、企業の将来的な成長にとって重要なのは言うまでもない。ごく自然にSDGsの感覚を身につけている彼らに選ばれる企業になるために、どうあるべきか。これから多くの企業が、様々な局面で向き合っていく課題になるだろう。

itomegumi

伊藤 恵(サステナビリティ・プランナー)

東急エージェンシー SDGsプランニング・ユニットPOZI サステナビリティ・プランナー/コピーライター 広告会社で企業のブランディングや広告制作に携わるとともに、サステナビリティ・プランナーとしてSDGsのソリューションを企業に提案。TCC新人賞、ACC賞、日経SDGsアイデアコンペティション supported by Cannes Lionsブロンズ受賞。執筆記事一覧

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キーワード: #SDGs

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