ミシュラン、タイヤを「100%持続可能」に

仏ミシュランは2月末、「2050年までにタイヤを100%持続可能にする」取り組みを進めると発表した。同月、同社初のタイヤリサイクル工場を着工したほか、カーボンブラック、熱分解油、スチール、ガスなど高品質の再生材料を使用済みタイヤから回収する特許技術を駆使して、タイヤを100%リサイクルする。(山口勉)

サステナビリティの取組みを強化するミシュラン

同社は2017年に「VISIONコンセプト(エアレス、コネクテッド、3Dプリンティングの活用、100%持続可能原料を使用したタイヤ)の実現」を発表しており、その実現に向けた活動の一環として取り組む。

今年2月、ミシュランはエンバイロ(本社スウェーデン)と共同で同社初のタイヤリサイクルプラントの建設着工を発表した。同社はカーボンブラック、熱分解油、スチール、ガスなど高品質の再生材料を使用済みタイヤから回収する特許技術を開発したが、この技術によりタイヤを100%リサイクルすることが可能になるという。

同社のタイヤは、主原料の天然ゴムに加え、合成ゴム、金属、繊維、強化剤(カーボンブラック、シリカ)、可塑剤(樹脂)など、200種以上の素材で製造されている。それら原材料の約30%は、既に天然素材かリサイクル素材、持続可能な原材料が使用されている。

同社の研究開発7拠点では6,000人以上のエンジニア、研究者、化学者、開発者が、350の専門分野で2050年までにタイヤを100%持続可能にするというこの目標達成に取り組んでいる。

こうした技術の確立により同社は2030年までに1350万トンの持続可能な原材料を使ってタイヤを生産する。

このほか、同社の主なサステナビリティの取り組みは下記の通り。

・木材、籾殻、葉、トウモロコシ茎葉などを原料に石油由来ブタジエンに代わる、バイオマスブタジエンを製造しタイヤの原材料とする。この技術により年間420万トンの木材チップがミシュランタイヤへリサイクルされる可能性が見込まれる。

・廃ポリスチレン(ヨーグルトポット、食品容器、プラスチック包装など)からリサイクルスチレンを製造。最終的に年間数万トンのポリスチレン廃棄物を元の製品やミシュランタイヤにリサイクルすることを目指す。

・酵素を使用してペットボトルを元の純粋なモノマーに分解。使用済みペットボトルを回収し新しいペットボトルとして再生産が可能に。またリサイクルされる素材にはタイヤ製造に使用するポリエステルが含まれ、年間約40億本のペットボトルがミシュランタイヤにリサイクルされる可能性が見込まれる。

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山口 勉(オルタナ副編集長)

大手IT企業や制作会社で販促・ウェブマーケティングに携わった後独立。オルタナライターを経て2021年10月から現職。2008年から3年間自転車活用を推進するNPO法人グリーンペダル(現在は解散)で事務局長/理事を務める。米国留学中に写真を学びフォトグラファーとしても活動する。 執筆記事一覧

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