小泉環境相、「バタリーケージは推奨しない」

串田議員は「日本はいま、鎖国しているわけじゃないわけですよね」と述べ、インバウンド需要、国際社会の競争の中にあって、日本の生産者を守るために国がバタリーケージを無くす方向に導かないとならないと主張した。

そのとおりである。

そしてそれは生産者に限らない話だ。すべての企業がバタリーケージを離れる決断をする時が来ているのではないだろうか。

平飼い卵に切り替えるというケージフリー宣言をした国内の企業やお店は、この2月で100件を超えた。宣言をした企業の多くがすでに平飼い卵に移行していたり、移行に向けた実質的な取り組みを開始している。

岩手県にあるイタリア料理のレストランは2030年までに平飼いに移行することを決めた。オーナーは「平飼い卵に切り替えたいと思ったのは、この業界を良くしていきたいという思いからです」と話してくれた。

京都にあるホテル、イムホテル京都は、2027年までのエッグスマート&ケージフリー宣言をした。エッグスマートとは卵の使用量を減らしたりなくしていくという宣言で、何らかの事情で平飼い卵への移行が難しい場合に、卵の使用をやめると決断したのだ。

もともとヴィーガンオプションを持つこだわりのホテルであったため、コロナ禍にあっても客が途絶えなかったことが決断のひとつのきっかけになったようだ。まさにこれからの時代を生き残るための企業の知恵として、動物への配慮を掲げてくれた。

少しづつ、地球上に生きる800億頭の畜産動物たちを無視せずに責任を果たすという方向に社会が動き始めている。

chihirookada

岡田 千尋(NPO法人アニマルライツセンター代表理事/オルタナ客員論説委員)

NPO法人アニマルライツセンター代表理事・日本エシカル推進協議会理事。2001年からアニマルライツセンターで調査、戦略立案などを担い、2003年から代表理事を務める。主に畜産動物のアニマルウェルフェア向上や動物性の食品や動物性の衣類素材の削減、ヴィーガンやエシカル消費の普及に取り組んでいる。【連載】アニマルウェルフェアのリスクとチャンス

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