大規模な植林を進めるための2つのイニシアティブも発足した。一つ目は、国内向けの「サウジ・グリーン・イニシアティブ」。石油依存から脱却し、経済を多様化する取り組みの一環で、サウジアラビア国内で、今後数十年間で100億本の木を植えるという野心的な計画だ。
現在すでに植林されている土地の12倍に当たる量であり、土地劣化の減少および陸域生息地の保全強化に関する世界イニシアティブの4%、世界的目標である「1兆本の植林イニシアティブ」の1%をサウジアラビアが担う形となる。
もう一つ、「グリーン・ミドルイースト・イニシアティブ」は、周辺の中東諸国と連携し、さらに400億本の植林を目指すという。
現在、サウジアラビアの森林面積はわずか0.5%で、中東の森林面積は主に地中海沿岸に限られている。大規模な植林活動が、水資源を圧迫する可能性もある。
クライメート・ホーム・ニュースによると、スコットランドの植林研究者ニーナ・リンドストロム・フリゲンズ氏は、「サウジアラビア政府は、大規模な植林活動が地域の水資源に与える影響を考慮し、プロジェクトが持続的に管理されるようにしなければならない」と指摘している。
それに対し、気候変動コンサルタントのアラム氏は、アラブ半島の象徴である「ガフの木」が、長生きで、水をあまり使わず、生物多様性を支えることができると主張する。また、乾燥に強いナツメヤシを植林し、雨水の再利用で砂漠化を回復させた事例などもすでに国内にあり、期待は高まる。
地球規模で気候変動対策が必要されている今、サウジアラビアの若きリーダーによる積極的な動きは、国連のエスピノサ気候変動枠組条約事務局長も歓迎しており、その動向を注視したい。