キリンHDが植物肉ベンチャーに出資、協業視野に

キリンホールディングス(HD)はこのほど、大豆由来の植物肉原料「ミラクルミート」の開発・生産を行うDAIZ(ダイズ、熊本市)に、3月31日に出資したと発表した。ヘルスサイエンス関連のスタートアップへの投資を行うCVCファンド「キリン ヘルス イノベーション ファンド」を通じて出資した。同ファンドの運用総額は50億円だが、今回のDAIZ社に対する出資額は非公表だ。(遠藤一)

DAIZが開発したミラクルミート

健康志向の高まりやCO2の排出抑制、動物福祉(アニマルウェルフェア)の観点などから、世界的に「代替肉」の市場規模が拡大している。この15年で世界の代替肉市場は約11兆円に上るとの推計もある。

代替肉は、主に大豆や小麦などの植物原料をベースにした「植物肉」が主流だ。

DAIZが開発したミラクルミートは「穀物の大豆」ではなく、芽を出して「植物になった瞬間の大豆」を原料とするため、一般的な粒状大豆たんぱくよりも、アミノ酸、ビタミン、ミネラルが増加。これを大豆発芽の特許技術「落合式ハイプレッシャー法」と独自の製法工程を掛け合わせることで、肉に近い味と食感の再現や、大豆特有の異風味の低減を実現させた。

DAIZ公式サイトでは「発展途上国の人口が増え続けると将来、牛肉、豚肉、鶏肉の恩恵を授からない子どもたちが増えるのではないかと心配しています。だからこそ、おいしくて機能性があり、そして安価な『植物肉』の出番だと思います」とし、持続可能な食料源を確保するとういミッションを掲げる。

「ミラクルミートをハンバーグやチキンナゲット、シーチキン、唐揚げ、餃子、シュウマイ、春巻きなど、さまざまな加工食品向けに普及させていきたい」とする。

キリンHDはDAIZへの出資理由として、ヘルスサイエンスにおいての協業可能性を挙げる。キリンHD広報によると「健康志向や、サステナブルフードの市場が拡大している。高い技術力と知見を持ったDAIZとは、互いの技術やノウハウを共有することで、新しい価値を生むことができる」と着目した。

キリンビバレッジでは、免疫機能の機能性表示食品「iMUSE(イミューズ)」などヘルスサイエンスを生かした商品なども展開。また、再生ペット樹脂を100%使用した「R100ペットボトル」や、商品名のラベルを貼らない「ラベルレス」の商品拡大を展開するなど、持続可能なプラスチック問題への取り組みを進めている。

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