「製品の調達先に思いを馳せる」サラヤ×森貴美子

「誰一人取り残さない」というスローガンのもと、2030年までに達成すべき目標を定めたSDGs(持続可能な開発目標)。目標12「つくる責任 つかう責任」では、企業にサステナブル(持続可能)な方法で製品やサービスを生産することを求めるとともに、消費者にも持続可能な消費を呼び掛けている。普段から製品がつくられる背景やその影響力にまで目を向ける、モデルの森貴美子さんに話を聞いた。

「モリキミ」の愛称で親しまれ、10代のころからモデルとして活躍してきた森貴美子さん。ボルネオでアブラヤシの果実に触れた(撮影:藤田 二朗/photopicnic)

震災や妊娠を機に「買うこと」見直す

―─自然や環境問題に対する関心は、もともと高かったのでしょうか。

小さなころから学校などで、自然を大切にするように、資源を無駄にしないようにと教育を受けてきましたが、実際に何をしたら良いのか分かりませんでした。

特に10代のころは、ファストファッションや買いやすい値段の家具などが人気で、安くて楽しいものが流行していました。大量生産・大量消費が当たり前の時代だったと思います。インターネットも普及していなかったですし、何が良くて、何が悪いのか、情報が限られていました。

20代のころからは、スーパーで賞味期限が近い手前から食品を選んだり、マイボトルを持ち歩いたり、普段からできることを意識しています。

――東日本大震災や妊娠を機に、環境に対する思いが強まっていったそうですね。

10年前の3月11日、東日本大震災が発生し、被災地は本当に大変な状況だったと思います。私が暮らす東京でも、まちからモノが消えてかつてない経験をしました。

ただ、何かをきっかけにはっきりと変わったというよりは、震災や妊娠を経て、身の回りのものを選ぶことに対して見直すようになりました。

それまでは、選択肢が豊かで、いつでも何でも買える環境があり、「買うこと」を深く考えてはいませんでした。目の前にあるものから「パッと選ぶ」という感覚です。

妊娠し、自分以外の人間が生活に入ってくることを考えたときに、人にも環境にも良いものをきちんと選びたい─、そう考えるようになりました。それから製品の「原料」や、作り手の「顔」や「思い」が見えるものを一つひとつ選び取るようになりました。その一つが、サラヤの「ヤシノミ」シリーズです。

ボルネオと日本、サラヤがつなげる

クルーズしながら熱帯林を視察する森さん

――2017年には、洗剤の原料として使われるパーム油の生産地であり、サラヤが生物多様性保全活動を続けるボルネオ島に行かれましたね。

ボルネオ島は「生物多様性の宝庫」といわれています。

私も見たことのない大きさの虫、カラフルな鳥、野生のゾウやテングザルを目にして、「こんな世界がまだ残っているのか」と感動しました。

同時に、こうした生物の多様性が失われていく現実も知り、ショックを受けました。

現地では、川をクルーズして、そこから熱帯林を眺めた後、ヘリコプターに乗ってボルネオ島全体を見渡しました。

すると、熱帯林は川辺にほんの少し残るだけで、ほとんどは伐採され開発された農園だったのです。棲み処を奪われたゾウやサルが食べ物を探し回っているだけで、農家から害獣として駆除されてしまうと聞いて、とても悲劇的だと感じました。

――アブラヤシのプランテーションですね。大規模な開発に伴い、多くの動植物が絶滅危機に瀕しています。パーム油は85%が食用として利用され、残りの15%は化粧品や洗剤などの非食用です。

ボルネオではアブラヤシの実を取る体験も

ヤシノミシリーズで使用しているパーム油はほんの少しだそうですが、サラヤはパーム油を使う企業として見過ごせない問題だと考え、持続可能な原料調達とともに、保全活動を始めました。まじめで正直なモノづくりをされているところに共感しています。

現地では、アブラヤシの果実から搾油する工程なども見学しました。実際に原料に触れ、ここから洗剤が作られているという実感を得ました。事前に勉強していたものの、ボルネオで体感して、問題意識も高まり、製品と自分の暮らしとのつながりをより意識できるようになりました。

持続可能な選択肢、消費者にも提供

――SDGsのなかで、どの目標に関心がありますか。

子どもが小学2年生なので、教育の問題に関心があります。日本は義務教育である程度の教育を受けられますが、世界の開発途上国などを見ると、5人に1人の子どもが学校に通えない現状があります。

教育は、人生の選択肢を増やします。子どもたちが学校にも通えず、泣きながら働かされ、それが私たちの身の回りの製品に関係があるとすれば、とてもやりきれない気持ちになります。ですから、なるべくフェアトレードの製品を買うようにしています。

――森さんにとってサラヤはどのような存在でしょうか。

私たち消費者にも「サステナブルなことができる」ということを、教えてくれた企業だと思っています。何かしたいと思っても、一個人ではできないこともあります。サラヤの製品を買うと、1%がボルネオの保全活動に寄付されるなど、ガラス窓のようにクリアで分かりやすい。

仕組みそのものがサステナブルだと感じています。何かしたいと思ってもなかなか一歩が踏み出せない人は多いと思います。モノを買う、使うという日常の行為を通して、社会に貢献できる機会や選択肢を提供してくれていることに感謝しています。

買い物は毎日のことですから、一人でも少しずつ行動を変えたら、大きなインパクトになっていくはずです。

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yoshida

吉田 広子(オルタナ副編集長)

大学卒業後、米国オレゴン大学に1年間留学(ジャーナリズム)。日本に帰国後の2007年10月、株式会社オルタナ入社。2011年~副編集長。執筆記事一覧

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キーワード: #SDGs#パーム油

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