鶏の死が契機、中学生が「ペットのお墓」開発へ

京都府京都市にあるプロジェクト型学習の放課後教室「studioあお」に通う中学2年生の仲水蓮さんと、小林夏埜子さんは、ニワトリの死をきっかけに、ペットのお墓キットの開発に挑戦している。まもなくAmazonでの販売を開始するという2人に、なぜこのような活動を始めたのか、話を聞いた。(スマイルバトン代表=三原 菜央)

無いなら自分たちで作ろう!と始まったプロジェクト

中学2年生の仲水蓮さんと、小林夏埜子さんは、『Home Grave Planner 』というプロジェクトに取り組んでいる。注文すると、自宅にペットのお墓を作れるキットが届くサービスを開発しており、まもなくAmazonで販売を開始するという。始めるきっかけは何だったのだろうか。

「ある日、教室で飼っていたニワトリが突然死したんです。可愛がっていたので、めちゃくちゃ泣きました。でも大切に育てていたからこそ、死んだ理由を知りたくてお医者さんを呼んで病理解剖をしてもらいました。その結果、熱中症ということが分かったんです」。

もともと動物が好きで、仲さんの将来の夢が獣医だったこともあり、2人は病理解剖にも立ち会った。

「病理解剖は結構きつかったけど、自分たちが育てたからこそ、この目でちゃんと見ないと駄目だと思い、立ち会いました。お医者さんも、丁寧に細かく器官や部位について教えてくださったので、すごく勉強になりました」。衝撃的な体験をした2人の前に、さらに新たな壁が立ちはだかる。

「病理解剖が終わりニワトリのお墓を作って供養したいと思ったのですが、調べてみると、きちんとしたお墓を用意するには数万円かかってしまうことが分かりました。動物のお墓の種類や値段を調べていくうちに、心はこもっているけど、高すぎないお墓というのがあまりないことに気がつき、だったら自分たちで作ろう!と始まったのがこのプロジェクトです」。

大人になるのを待つ必要もない

こうして始まった彼女たちのプロジェクトも、決して順風満帆ではなかったようだ。

「商品を開発するなんて初めてのことだったので常に手探り状態で、一番難しかったのは他社商品との差別化でした。当初のお墓キットの内容としては、花の種とプランター、土といったシンプルなキットを考えていましたが、それだけではただホームセンターに売ってるモノをかき集めて売るのと同じでは?というアドバイスをいただいて、オリジナルのサービスにできるよう、改良を重ねています」

多くの大人の前で、ビジネスプランを発表する機会や相談する経験を通して、大人に対する見方にも変化があったという。

「このプロジェクトを通して、いろんな大人の人と関わる中で、やっぱり皆おもしろいものを見て笑って、悲しいことを聞いたら悲しんで、みたいな…世代こそ違えど、結局皆一緒なんだなという感覚を持ちました。大人になったらこれがやりたいとかあるけれど、大人になるのを待つ必要もないかなと思っています。逆に大人になってから、子どものときにこんなことやっていれば良かったみたいなことも、大人になってからでもできると思います。世代の線引きみたいなものを感じなくなったので、これからもどんどん今取り組みたいことに挑戦していきたいです」

mihara

三原 菜央(スマイルバトン)

株式会社スマイルバトン 代表取締役/iU客員教員 1984年岐阜県出身。大学卒業後、8年間専門学校・大学の教員をしながら学校広報に携わる。その後ベンチャー企業を経て、株式会社リクルートライフスタイルにて広報PRや企画職に従事。「先生と子ども、両者の人生を豊かにする」ことをミッションに掲げる『先生の学校』を、2016年9月に立ち上げる。2020年3月にボーダレス・ジャパンに参画し、株式会社スマイルバトンを創業。著書に「自分らしく働く パラレルキャリアのつくり方(秀和システム)」がある。執筆記事一覧

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