欧州最大の金融機関アリアンツ、営業利益9%増強調

欧州最大規模の金融グループであるアリアンツSE(本社:ドイツ・ミュンヘン、オリヴァー・バテCEO)の年次総会が5月5日、オンラインで開催された。(オルタナ総研フェロー=室井 孝之)

年次総会は、「1株当たり9.60ユーロ(1260円)の配当金の支払いの承認」「取締役会および監督委員会のメンバーの行動の承認」など全ての議題が高い承認を得てすべて決議された。

オリヴァー・バテCEO

オリヴァー・バテCEOは、2021年営業利益は120億ユーロ(前年比109%)を目標とすると強調した。

同社は1890年設立。現在は損害保険や生命保険、医療保険および資産運用管理や各種銀行業務などを、ヨーロッパ、アジア(含日本)、アメリカ、アフリカおよびオーストラリアの70カ国で行う。

同社は、「私たちはあなたの未来を確保します」をパーパスとしている。

インターブランド社による保険会社のグローバルブランドランキングで2019年から2年連増で1位に輝いている。

オリヴァー バテCEOによる報告「CEO Report」の要旨は次の通り。

1.財務結果
2020年度はCovid-19の影響を受け、総収益1,400億ユーロ(約18兆円)、営業利益約110億ユーロ(約1.4兆円)で減収減益だが、Covid-19の影響を調整すると営業利益は、前年を上回った。

「損害保険」は3年連続で経費率を引き下げた。「生命・健康分野」ではお客様により良いリターンの保険契約へのシフトがタイムリーに行われた。「資産運用活動」も収益性を上げた。1株当たり利益は16.48ユーロ(約2,200円)で、株主に帰属する純利益は68億ユーロ(約9,000億円)である。

2.お客様 
お客様を対象とした当社サービスの評価は「ネットプロモータースコア」で測定される。2020年のパンデミックの年に当社の事業の79%は、市場平均より高い顧客ロイヤルティを記録した。

3.従業員 
従業員が当社の変革のためにどれだけ参加しているかを測定する指数(IMIX)を導入している。2020年のIMIXは5%アップし78%だった。市場と比較し、大幅に改善した。指数の高さは、将来の健全な事業基盤を意味する。

4.戦略
「シンプルさが勝つ」が戦略の中核である。現在は1億人以上の顧客を獲得している。可能な限りの効率と顧客重視、すなわち簡略された商品、デジタル化、お客様のためのより速く、より複雑でないサービスの結果である。

5.社会的責任
2020年12月に世界の年金基金、保険会社等資産運用大手30社が、投資先企業の温室効果ガス排出量が2050年までに実質ゼロになることを目指し設立した「ネットゼロ・アセットマネジャーズ・イニシアチブ」に加盟している。現在37社が加盟し、6兆米㌦(約656兆円)の資産を管理している。2021年1月、クライアントのポートフォリオにおいて2019年と比較して2025年までにCO2排出量25%削減目標を掲げた。

株主の皆様へ
2021年度も当社の強力なバランスシート、安定した流動性、優れた支払能力、バランスの取れた事業ポートフォリオが継続する。2021年は営業利益120億ユーロ(前年比109%)を目標としている。

また、壊滅的なパンデミックの撲滅に向け、ワクチンの投与量が利用可能になり次第、世界的な予防接種キャンペーンを支援する。

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室井 孝之 (オルタナ総研フェロー)

42年勤務したアミノ酸・食品メーカーでは、CSR・人事・労務・総務・監査・物流・広報・法人運営などに従事。CSRでは、組織浸透、DJSIなどのESG投資指標や東北復興応援を担当した。2014年、日本食品業界初のダウ・ジョーンズ・ワールド・インデックス選定時にはプロジェクト・リーダーを務めた。2017年12月から現職。オルタナ総研では、サステナビリティ全般のコンサルティングを担当。オルタナ・オンラインへの提稿にも努めている。執筆記事一覧

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キーワード: #ESG投資

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