国内発サービスも続々、広がるリユースビジネス

国際環境NGOグリーンピース・ジャパン(東京・新宿)と地球・人間環境フォーラム(東京・台東)は5月27日、「ごみゼロ」の日(5月30日)を前にシンポジウム「リユース革命! 容器包装で始まる、サーキュラー・イノベーション」を開催した。シンポジウムの第一部では自治体の取り組みや、ゼロ・ウェイストショップ「斗々屋」などのビジネスを紹介した。(オルタナ副編集長=松田慶子)

新たなリユースビジネスが次々に始まっている

プラごみの半分は「使い捨て」

「日本のプラスチックごみのうち47%は使い捨て用途で、一人当たりの容器包装プラごみの排出量は米国に次いで世界第二位」と冒頭に現状を紹介したのは、地球・人間環境フォーラムの天野路子氏。リユースビジネスの必要性を訴えた。

毎分トラック1台分のプラスチックごみが海に流れ、プラスチックの需要は増大し続けているという。その中でリユースビジネスは1兆円以上の経済規模があると試算されるが、国内の消費者の意識の高まりとともに企業の参入も期待されている。

自治体からは、京都府亀岡市の桂川孝裕市長と東京都環境局の古澤康夫氏が登壇した。 

「美しい保津川を取り戻そうとスタートした取り組みだが、今は市民のライフスタイルが変わった」と振り返るのは桂川市長。保津川のプラごみ問題が深刻化したことが「かめおかプラスチックごみゼロ宣言」のきっかけとなった。

2019年に法律に先駆けてレジ袋有料化をスタートし、今では市民の98%がエコバッグを持参するという。レジ袋を忘れたユーザーには亀岡市が製作した紙袋を販売している。

ペットボトルの削減も目指し「mymizu」プラットフォームに参加。ウォーターサーバーを設定する市内の店舗を給水スポットとして登録する。今後も積極的に企業とコラボレーションする考えだ。

「地球は切羽詰まっている。物の作り方や売り方、買い方を根本から変えることが急務」と危機感をあらわにするのは東京都環境局の古澤氏だ。「シェアやリペア、リユースなどのメインストリーム化が必要」とし、さまざまなプラスチック削減プログラムを支援してきたが、新たなビジネスモデルや水平リサイクルなど「革新的な技術」を実装したビジネスの必要性を痛感している。

ゼロ・ウェイストのスーパーマーケット

国内リユースビジネスの事例として、京都にゼロ・ウェイストのスーパーマーケットを7月に開店するのは「斗々屋」(ととや、東京・世田谷)。スーパーマーケットの規模としては、日本初としている。これまで都内で量り売りショップを運営してきたノウハウを生かし、今回スーパーマーケットの規模を目指す。プラスチックフリーのディスペンサーで食材を各自の容器に詰める方式で、固形のシャンプーや洗剤など、包装されていない、使い捨てない日用品も販売する。

「1店舗だけでは効果も限定的」と割り切り、量り売りに興味はあるが実際には踏み出せずにいる店舗に、ノウハウをシェアする研修会も実施している。

捨てずに返すシェアリング容器サービスとしては 「Re&Go」と「Loop」 の事例が紹介された。

シェアリング容器サービス「Re&Go」は、ユーザーが店舗でシェアリング容器を利用して持ち帰り、店舗に返却する仕組み。ユーザーはアプリより手軽なLINEでやりとりするので、店舗はユーザーとコミュニケーションを取ることも可能だ。

容器を輸送・洗浄するパートナーは本業の空き時間を使って参加することができる。2020年12月から沖縄のイオン琉球やスターバックスコーヒーなど、13カ所の店舗で実験を行った。

「Loop」は、食品だけでなく日用品でもリユース容器を使えるサービスだ。Loopに入った商品を購入後、次の来店時に返却ボックスに返す。容器の返却を確認後、容器代をユーザーのLoopアプリに返金する仕組みだ。イオンで6社が参加し13商品の販売を開始した。

再利用すれば耐久性の高いものを使うことができる。容器は100回以上使うことが可能だ。

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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