プラごみ対策、トイレットペーパー包装を紙に

王子ネピアはこのほど、従来のフィルムパッケージを、紙パッケージに変更したトイレットペーパーを開発したと発表した。同日からオンラインショップ「nepia銀座店」での販売も始めた。(山口勉)

環境のことを意識してほしいという願いも込められたパッケージデザイン

同社はこれまでも適切に管理された森林で生産された木材であることを証明する「FSC認証紙」の採用や、商品パッケージにバイオマスインキを使用するなど、環境負荷低減に取り組んできた。ただ、トイレットペーパーのパッケージにはプラスチックフィルムの使用が続いていた。

プラスチック包装は燃やせばCO2の排出につながるほか、海洋汚染の原因になるため、削減の機運が高まっている。同社は問題解決の一助となる取り組みとして紙パッケージを開発した。

今回、王子ネピアが紙パッケージ化するトイレットペーパーは長さが50メートルと、通常の商品と比べて2倍にした。

トイレットペーパー全体の市場規模は、ほぼ横ばいで推移している中、長巻トイレットペーパーの需要は交換回数の半減や収納スペースの削減のメリットがある。コンパクトで持ち運びしやすい点も評価され、販売量は直近の4年間で約2倍に拡大した。

小売店にとっても、売り場や在庫スペースの削減、品出し回数の低減、輸送効率の向上による物流業界の課題の解決に貢献するなど、様々なメリットがある。ゴミになるパッケージの総量削減効果も見込める。同社は今後も積極的に紙パッケージの採用を進めていく考えだ。

紙パッケージ化の取り組みでは、ネスレが2019年に「キットカット」の大袋を紙パッケージ化した例がある。2020年秋からは同商品のほぼ全ての大袋タイプ製品の外袋を紙パッケージにしたことで、従来のプラスチック包装の時と比べて年間約450トンのプラスチックが削減できたという。

同社は大袋タイプの製品の外袋を紙パッケージにするだけでなく、2022年までに「キットカット」全製品の包材を全てリサイクル・リユース可能な素材にする方針だ。

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山口 勉(オルタナ副編集長)

大手IT企業や制作会社で販促・ウェブマーケティングに携わった後独立。オルタナライターを経て2021年10月から現職。2008年から3年間自転車活用を推進するNPO法人グリーンペダル(現在は解散)で事務局長/理事を務める。米国留学中に写真を学びフォトグラファーとしても活動する。 執筆記事一覧

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キーワード: #ESG経営

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