午後の紅茶はスリランカ紅茶農園をどう変えた

商品を通して社会課題を解決する取り組みは増えてきた。その中の一つに、今年で発売35周年を迎える『キリン 午後の紅茶』もあてはまる。発売当初からスリランカ産の紅茶葉を使い、紅茶葉の栽培を持続可能にするため国際的な認証制度「レインフォレスト・アライアンス認証※」の取得支援など、継続的なCSV活動を行ってきた。なぜ、スリランカにこだわるのか、そして、スリランカをどう変えたのか。(オルタナS編集長=池田 真隆)(PR:キリンビバレッジ株式会社)

※ 農園の農業活動が環境、社会、経済面の全てについてより持続可能であることを、持続可能な農業基準に照らし、第三者認証機関が独立した立場から審査し、保証する国際的な認証制度

■おいしさに妥協しない本格紅茶に不可欠なスリランカ茶葉

「午後の紅茶にとって、欠かせないものです」――。キリンビバレッジで『午後の紅茶』のマーケティングを担当する加藤麻里子さん。加藤さんはスリランカ産の紅茶葉についてこう言い切る。午後の紅茶では、35年前の発売当時からスリランカの農園で栽培された紅茶葉を主な原料にしてきた。

加藤麻里子

キリンビバレッジ株式会社マーケティング部 
ブランド担当 担当部長 シニアブランドマネージャー

スリランカはインド半島の南東にある島国だ。スリランカの茶葉は、直射日光や山岳地帯の爽やかな季節風を浴び、紅茶の渋み成分であるタンニンを多く含む。紅茶独特の渋みと花のような香り、美しい赤色を持ちながらも、オーソドックスな飲みやすい茶葉として知られる。

加藤さんはスリランカ産の紅茶葉の魅力についてこう説明する。「スリランカにはディンブラやヌワラエリアをはじめとする世界的な紅茶産地がありますが、産地によって標高が異なり、それぞれが特長をもった良質な茶葉を生産していることから、発売当初から、午後の紅茶のおいしさには欠かせない存在でした」

午後の紅茶を販売した1986年からスリランカとの関係は始まったが、同時に課題も明らかになった。それは、紅茶農園の持続可能性だ。

スリランカの紅茶農園には、大農園の周りに数十万の小農園がある。茶葉の多くが小農園で作られており、これらの小農園が持続可能にならないと、午後の紅茶のおいしさを維持できなかった。

■業界をリードして始めた支援活動

そこで始めたのが、国際的な農業認証制度「レインフォレスト・アライアンス認証」の取得支援だ。「レインフォレスト・アライアンス認証」とは、自然と作り手を守りながら、より持続可能な農法に取り組むと認められた農園に与えられる認証制度だ。国際的な認証を得た紅茶農園は、環境面や社会面できちんと配慮していることが信頼できる第三者から認められたことになり、付加価値が高まる。そしてその生産物がより選ばれるようなれば、生産者の生活と子どもたちの教育環境の向上に寄与する。

だが、この認証を取得するためには、より持続可能な農園にするための知識や方法を学ぶ必要があり、一定の費用が掛かる。具体的には、水源地保全や土壌の流出を防ぐための下草管理、野生生物の保護などについて学ぶための費用や審査費用だ。

そこで、キリンでは、知識や方法を学ぶためのトレーニング費用を提供することにした。過去には、認証茶葉を「買う」という選択肢もあった。だが、それでは費用を負担できない農園を切り捨てることになると判断。「認証茶葉を調達することに注力するよりも、認証取得のトレーニング費用を支援し、多くの紅茶農園に認証を取得していただきたいと考え、トレーニング費用を支援することを決めました」(加藤さん)

2020年末時点で、レインフォレスト・アライアンス認証を取得した農園は大農園が93、小農園が120ある。2021年末までに1000の小農園で取得に向けた支援開始、2025年末までには10,000の小農園で認証取得支援の開始を目指している。

■小学校への図書寄付も注力

レインフォレスト・アライアンス認証の取得支援に加えて、教育支援も行う。それが農園の近くに併設された小学校への図書寄贈だ。これは「キリンライブラリー」と名付けた取り組みで、発売20周年の翌年にあたる2007年から開始した。2021年1月までに寄贈した校数は200校に及ぶ。今後もこの取り組みは継続していく。

本を届けるのはなぜか。キリンの加藤さんは、「都市部に比べ、紅茶農園があるような地方の教育環境は必ずしも整っているとはいえません。日本では当たり前のように置かれている学級文庫や充実した図書室がないというのが現状です。次世代を担う農園で働く方の子どもたちの将来への夢に繋がるお手伝いをしたいと思っています」とその理由を語る。図書寄贈が始まってから子どもたちの学力も上がった。「上位の学校に進学する生徒も増えた」とのことだ。

■サステナブルな生産環境の実現に向けて

加藤さんは、レインフォレスト・アライアンス認証の取得支援を行う手応えについて、「自然の恵みを原料として、商品やサービスを提供しているキリングループにとって、生態系の保全は重要な課題です」と話す。「原料の生産地の生態系のバランスを損なわないこと、また、その農園の生産体制、労働環境の向上に寄与する支援も飲料メーカーとしては重要な取り組みです」

8月3日には、紙パックの『午後の紅茶 ストレートティー 250ml LLスリム』がリニューアル発売された。この商品に使うのが、スリランカ産のレインフォレスト・アライアンス認証茶葉だ。レインフォレスト・アライアンス認証マークを入れたパッケージには、午後の紅茶のスリランカ紅茶農園支援の内容を盛り込んだ。

加藤さんは、「飲んでおいしさを感じていただけると同時に、ずっと午後の紅茶のおいしさを支えてくれているスリランカ紅茶農園との絆に気づいていただくことで、ちょっとした、『幸せなときめき』を感じていただけると嬉しいです」と話す。

■商品情報
『キリン 午後の紅茶 ストレートティー 250ml紙( LLスリム)』/キリンビバレッジ
100円(消費税抜き希望小売価格)
レインフォレスト・アライアンス認証茶葉を使った商品|ブランド ソーシャル アクション|キリン

午後の紅茶 幸せの本棚(@gogotea_happiness)

M.Ikeda

池田 真隆 (オルタナS編集長)

株式会社オルタナ取締役、オルタナS編集長 1989年東京都生まれ。立教大学文学部卒業。 環境省「中小企業の環境経営のあり方検討会」委員、農林水産省「2027年国際園芸博覧会政府出展検討会」委員、「エコアクション21」オブザイヤー審査員、社会福祉HERO’S TOKYO 最終審査員、Jリーグ「シャレン!」審査委員など。

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キーワード: #農業

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