15億着の衣類ロスを救う拠点が東京・表参道に

東急不動産などは7月26日、循環型ファッションの実現化を目指す拠点「New Make  Labo(ニューメイクラボ」を東京・表参道に開いた。日本では年間15億着の服が誰にも着られることなく廃棄されており、こうした衣類の価値を高めて再販売する「アップサイクル」の運動を広げることを目指す。(山口勉)

ニューメイクラボの店内イメージ

拠点を運営するのは、東急不動産と、体験シェアリングサービスを運営するSTORY&Co.(ストーリーアンドカンパニー:東京・千代田、細川拓社長)だ。

SDGsが世界に浸透し、企業においてもサステナビリティが重要な経営課題だと認識されている中、ファッション業界においては衣料品の大量消費・大量廃棄が余儀なくされ、大きな問題になっている。環境省の推計では、2020年にゴミとして捨てられた服の量は51万2000トンに上る。

「NewMake(ニューメイク)」はそうした無駄に廃棄される服をなくすことを目指して、ストーリーアンドカンパニーの細川拓代表が立ち上げた新たなコミュニティだ。コミュニティは5月17日から会員の募集を開始しており、7月27日の時点で約250名が登録している。

ラボは企業・ファッションブランド・個人が共創し、衣料品ロスに対する課題解決を図っていく場となる。

ミシンのトップメーカー、ブラザーの協力のもと、国内外のブランドから提供される洋服や雑貨類を利用して、ラボの機材や資材を活用して新たな価値作り(アップサイクル)に挑む。

アップサイクルに必要となる機材・資材・素材は無料で提供し、ラボに参加する会員も無料で利用できる。

ミシンなどの機材の使い方や、制作に関してもアドバイザーの支援が受けられるため、経験がなくても安心して参加できる。コミュニティメンバー同士が、お互いの得意な領域を活かしてユニットを組み、創作にあたっていくなど、コミュニティだからこそ発揮できる魅力もある。

提供されるのは基本的に在庫品やサンプル品だ。ブランドの歴史やサステナビリティへの取り組みなどもアップサイクルに挑むコミュニティメンバーに共有される。ブランドは3週間を目途に変更される予定だという。

数に限りがあるため、その都度NewMakeに登録したコミュニティ会員の参加を募る。

創作したものに関しては、販売やレンタル、啓蒙のための展示などを検討中で、コミュニティ会員と一緒に相談して決めていく予定だ。

ラボの場所は、ファッションの中心地である表参道・原宿エリアだ。ファッションの課題に向き合うのにふさわしい。沢山の人たちの思いと手を通じて生み出された洋服の温もりを共有し、受け取ったコミュニティメンバーが新たな価値作りに挑戦していく。

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山口 勉(オルタナ副編集長)

大手IT企業や制作会社で販促・ウェブマーケティングに携わった後独立。オルタナライターを経て2021年10月から現職。2008年から3年間自転車活用を推進するNPO法人グリーンペダル(現在は解散)で事務局長/理事を務める。米国留学中に写真を学びフォトグラファーとしても活動する。 執筆記事一覧

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