キリン以外で話題になっているのが、ヤンゴンに竣工予定(現在は工事中断)の「Yコンプレックス」事業です。商業スペース、オフィス、ホテルなどが入居する複合施設を建設・運営することになっており、日本企業の海外インフラ市場への参入促進のために設立された官民ファンド、海外交通・都市開発事業支援機構(JOIN)や準ゼネコンのフジタ、東京建物、ホテルオークラなどが参加、国際協力銀行(JBIC)、三井住友銀行、みずほ銀行が融資しています。問題は敷地が国防省所有の旧軍事博物館跡地であること。年間2億円の賃借料が国軍に流れる可能性が高いことから、人権団体ヒューマンライツナウなどが、日本企業に撤退を求めています。
どこも撤退はしないようですが、不思議なのは、民主的なデモの列に銃撃を加えるなど国軍の人権抑圧に反対する声が日本企業の間から聞こえてこないことです。いわゆるサプライチェーンの問題ではないかもしれませんが、国軍が広い意味の取引先であることに変わりはありません。
ESGファイナンス・アワード・ジャパンのボンド部門で環境大臣賞を受賞したことのある東京建物をはじめ声を上げるべき時です。
ヤンゴンの民間団体、MCRB(Myanmar Center for Responsible Business=責任あるビジネスのためのミャンマーセンター)が人権、民主主義などを求める共同声明を発表した際、多くの欧米企業が署名しました。遅ればせながら署名に加わったクボタ、大塚製薬はその後、どうしたのでしょう。