環境省、食品大手9社と食の持続可能性で議論

環境省は8月30日、味の素やイオンなど「食」にかかわる大手企業9社と食生活からサステナビリティを考える意見交換会を開いた。環境省からは小泉進次郎・環境相と堀内詔子・環境副大臣が参加した。食のサステナビリティを切り口に、環境課題の解決策について話し合った。(オルタナS編集長=池田 真隆)

意見交換会に参加した小泉環境相と堀内環境副大臣

「いますぐに始められるサステナビリティの取り組みは食を変えること。例えば、地産地消の食品を購入することは脱炭素につながる。脱炭素時代において、食のサステナビリティを考えることはますます重要になってきた」

意見交換会の冒頭、小泉環境相はこう強調した。意見交換会に参加したのは、味の素、イオン、ぐるなび、日清食品ホールディングス、日本栄養士会、日本ミシュランタイヤ、パルシステム生活協同組合連合会、マイファーム、モスフードサービスの9社。

各社の担当者がサステナビリティの取り組みをプレゼンして、大臣らと意見を交わした。この意見交換会は食のサステナビリティについての関心を高め、行動変容につなげることが目的だ。

小泉大臣は、「環境省では今後、脱炭素につながる食品に独自のポイントを付与する制度を考えている。こうしたポイント制度を広めるための糸口を探りたい」と話した。

■運営チームは部署横断

この意見交換会は今年の3月中旬頃から構想が持ち上がり、6月に国・地方脱炭素実現会議が、「地域脱炭素ロードマップ」を発表したことで、堀内詔子・環境副大臣の指揮のもと立ち上がった。地域脱炭素ロードマップは2050年にカーボンニュートラルを目指すための政策をまとめたものだが、その中に「ゼロカーボンアクション30」という取り組みがある。

これは、脱炭素につながる30の取り組みを案内した「アクション事例集」だ。そして、そのうち4つのアクションは食関連のものだ。「フードロスをなくす」、「地元食材でつくった菜食を取り入れる」、「自宅でコンポストを置いて生ごみを堆肥化」などである。

今回の意見交換会はこの「ゼロカーボンアクション」をどうしたら世の中に広められるのかヒントを探るため開催した。

特徴的なのは、主幹部署を置かずに部署横断で職員に声を掛けたところだ。部署もキャリアも異なる約20人が集まった。課題解決のために一時的に集まって組織化する、いわばタスクフォースのような形のチームだ。

このチームを取りまとめる大臣官房秘書課の清家裕・課長補佐は、「部署を越えて集まったので、多様な視点から議論することができた」と手応えを話す。

業務範囲が異なる職員どうしが集まったからこそ、広い視野で食のサステナビリティを考えることにつながった。当日の議題は、地産地消、ジビエ、オーガニック食品、菜食、自産自消、食品ロス、サーキュラーエコノミーなど多岐に渡った。第2回の開催は年度内を予定しているという。

M.Ikeda

池田 真隆 (オルタナS編集長)

株式会社オルタナ取締役、オルタナS編集長 1989年東京都生まれ。立教大学文学部卒業。 環境省「中小企業の環境経営のあり方検討会」委員、農林水産省「2027年国際園芸博覧会政府出展検討会」委員、「エコアクション21」オブザイヤー審査員、社会福祉HERO’S TOKYO 最終審査員、Jリーグ「シャレン!」審査委員など。

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